研究概要 |
発生過程でプログラムされた細胞の死として、アポトーシスは定義される。この機構は、生理的に細胞を除去する場合に利用される。生理的だけではなく病的な変性、虚血、感染症に伴った細胞の死もアポトーシスであるであることが明らかになったきた。アポトーシスを生じる過程の中で,bcl-2ファミリーに属する分子はアポトーシスを促進・阻害を決定し,重要な位置を占める.そのような観点から、アポトーシスの機構を考慮しながら,bcl-2ファミリーのひとつであるヒトEAT遺伝子を標的分子として各種疾患の機序またその治療を押し進める上での分子基盤を明確にすることが本研究の目的である.その目的のために、マウス個体におけるEAT遺伝子のコンディショナル・ターゲッティングとEATを標的とした治療法の開発を進めている.Cre-loxPシステムを用いてES細胞のEAT遺伝子をコンディショナルにノックアウトする。EAT(3ヶのexonからなる)のexon 1の両端にloxP配列を挿入したターゲッティング・ベクターを作製し、このベクターをES細胞(TT2細胞)に導入し、相同組換えを生じたES細胞を14クローン得た(平成14年度中に終了)。これらのクローンのうち8クローンを用いてキメラマウスを作製した。その結果3系統において、すべての細胞がES細胞に由来する遺伝子改変マウスを作製することに成功した。また、卵子でCreを高発現するCAG-Creトランスジェニックマウスと上記マウスを交配することにより、一方のアレルでEATがノックアウトされたマウス(ヘテロマウス)を得た。現在、ヘテロマウスを交配することによりノックアウトマウスを作製中である。さらに、Meu-Cre40トランスジェニックマウス(balancer)と交配することにより、flox allele(EAT遺伝子のexon 1の両側にloxPを挿入したallele)を有するマウスを作製中である。mosaic mouseまで生まれており、近いうちにfloxalleleを有するマウスが得られる予定である。
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