IL-18で誘導されるMyD88非依存性、IL-4依存性IgE産生誘導機構の解明

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470074
• 研究機関: 兵庫医科大学
• 研究代表者: 中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
• 研究分担者: 筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914) ; 善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60241171)
• キーワード: IL-18 / MyD88 / IgE / NKT細胞 / IL-4 / シグナル伝達

研究概要

IL-18のシグナルはMyD88/IRAK/TRAF6等のシグナル伝達分子を介して核内に伝達させる。従ってMyD88を欠損させるとIL-12とIL-18でMyD88欠損したT細胞を刺激してもIL-18のシグナルが伝達されなくなり、相乗的なIFN-γの産生誘導はおこらない。その為か、MyD88欠損マウスはSPF飼育下でもTh2優位の状態となっており、血中のIgE値も高値のものが多い。我々はIgE値が低い(バックグラウンド値が低い)MyD88^<-/->マウスにIL-18を投与すると、野生型に比して、迅速にかつ大量にIgE産生が誘導されることを見い出した。この応答はCD4^+T細胞依存性、IL-4依存性であった。しかし問題は、MyD88^<-/->マウスが無刺激下でもTh2/IgE優位の状態にあるため、IL-18の示す真の増強効果が正確につかめない現状にある。そこで現在、MyD88^<-/->とIL-18R^<-/->を交配してMyD88/IL-18R double K0マウスを作製している。今後は、このマウスにIL-18を投与して、IgE応答を調べる予定である。また、LPS刺激の様にIL-18刺激もまたMyD88非依存的にTRIF依存的に刺激が伝達されるか検討する予定である。
次にIL-18によるIgE産生誘導に関しては、in vitro並びにin vivoの系でIL-18がNKT細胞を刺激してCD40LとIL-4の発現を誘導することを証明した(J Exp Med,2003)。実際、in vitroでIL-2とIL-18で刺激を受けたNKT細胞は静止期状態にあったB細胞を刺激してIgE産生を誘導する。しかし、IL-2とIL-18をconventional CD4^+T細胞を欠損するマウスに投与してもIgE産生が誘導されないことから個体レベルではNKT細胞だけでは不十分でconventional CD4^+T細胞の存在が必須であった。NKT細胞は構成的にIL-18Rを発現していることから、MyD88^<-/->由来のNKT細胞を用いて、IH-18に対する反応性も検討する予定である。最後に、我々は外来性にメモリー型Th1細胞を移入されたナイーブマウスに対して、経鼻的に特異抗原とIL-18を投与することで、IgE非依存的に気道の炎症と過敏症を誘導できることを示した(J Exp Med,2004)。新しい気管支喘息モデルを樹立出来たと考えている。
以上、IL-18はNKT細胞、Th1細胞からTh2サイトカインを誘導して、アレルギー性炎症を誘導することが明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] Hayashi, H., et al.: "TGF beta down-regulates IFN-gamma production in IL-18 treated NK cell line LNK5E6."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 300. 980-985 (2003)
• [文献書誌] Suzuki, N., et al.: "IRAK is essential for Interleukin-18-mediated natural killer and T helper cell type 1 responses."J.Immunol.. 170. 4031-4035 (2003)
• [文献書誌] Yoshimoto, T., et al.: "Non-redundant roles for CD1d-restricted NKT cells and conventional CD4^+ T cells in the induction of IgE antibodies in response to IL-18 tTreatment of mice."J.Exp.Med.. 197. 997-1005 (2003)
• [文献書誌] Nakano, H., et al.: "Persistent secretion of IL-18 in the skin contributes to systemic IgE response in mice."Int.Immunol.. 15. 611-621 (2003)
• [文献書誌] Sugimoto, T., et al.: "Interleukin 18 Acts on Memory T Helper Cells Type 1 to Induce Airway Inflammation and Hyperresponsiveness in a Naive Host Mouse."J.Exp.Med.. 199. 535-545 (2004)
• [文献書誌] Tsuji, N.M., et al.: "Roles of caspase-1 in Listeria infection in mice."Int.Immunol.. 16. 335-343 (2004)
• [文献書誌] Tsutsui, H., et al.: "Cytokine Knockouts (Giamila Fantuzzi, eds)"Human press. 471 (2003)