研究概要 |
公立の医療機関の全面的な協力を得て、多発大腸腺腫200例、対照群150例の協力を得て、患者対照研究の疫学研究デザインで、遺伝・環境要因の解析を行った。対象者のうち、患者群に対しては、遺伝子型については、主治医を通して各個人にその結果と意味について通知と説明を行った。生活習慣については、自記式の質問紙を用い、遺伝子型としては、ADH2,ALDH2,CYP1A1,GSTM1,GSTP1,NAT2等の遺伝子型決定を行い、環境要因との交互作用の検討を解析しつつある。多発大腸腺腫においては、喫煙と飲酒が強く発症リスクと関連している可能性が示唆された。さらに、ALDH2遺伝子型によって、飲酒の大腸腺腫発症リスクが異なる、遺伝子-環境交互作用が弱いながらも示唆されている。 申請者らが健康管理に関与している職域集団の全員約700名を対象として、事前にインフォームドコンセントが得られた対象者について、健康行動関連遺伝子型の解析を行った。 対象者に対して、アルコール感受性、飲酒行動、その他の健康関連行動、性格特性、ストレス度等のアンケート調査を実施した。とくに問題飲酒行動と関連する遺伝・環境要因の解析を行った。ストレスの指標としては、最近注目されている努力-報酬不均衡(ERI)モデルを用いた。また、問題飲酒行動の指標としては、これも世界的によく用いられている、CAGE、AUDITという2つのスケールを用いた。ERIモデルによって評価されたストレスレベルと問題飲酒行動とが、一定の有意な関連を示すという知見が得られた。
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