研究課題/領域番号 |
13470084
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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研究分担者 |
人見 嘉哲 杏林大学, 医学部, 助手 (70231545)
鈴木 健二 杏林大学, 医学部, 講師 (10187726)
木崎 節子 杏林大学, 医学部, 助教授 (00322446)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 細胞外SOD / 肥満 / 脂肪細胞 / 活性酸素 / 脱共役タンパク質 / ヘパリン新和性ドメイン / 核移行 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(EC-SOD)は、唯一の分泌型SODアイソザイムであり、細胞外SOD活性の主要部分を占める。一方、EC-SODが白色・褐色両脂肪組織に存在し、ともに核にも局在することを免疫組織染色を用いて明らかにした。EC-SODのC末端にあるヘパリン結合ドメインの一次構造(-R-K-K-R-R-R-)が核タンパク質の核移行シグナル(NLS)によく似ていることから、EC-SODの核移行へのこのドメインの関与を検討した。マウスEC-SOD遺伝子のN末端(分泌シグナル)、あるいはC末端を改変したミュータント遺伝子を作製した結果、脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞またはCOS-1細胞を用いた一過性発現系で、ヘパリン結合ドメインが核移行シグナルとして働き、EC-SODは選択的に核へ運搬されていることを確認した。次に、EC-SODが分泌後に細胞に取り込まれ、核に移行する可能性を検討した。野性型EC-SOD遺伝子をCHO-K1細胞に導入することで強発現細胞を作製し、リコンビナントEC-SODリッチのコンディションドメディウム(CM)を得た。3T3-L1細胞を用いてEC-SODリッチCM中のリコンビナントEC-SODの細胞内分布を蛍光抗体法で観察した。3T3-L1細胞は20分ほどでEC-SODの取り込みが認められた。取り込みは2時間後まで増加し、その後プラトーになった。2時間後に細胞を集め、細胞質画分と核画分に分画し、ウエスタンブロットを行ったところ、細胞内に取り込まれたEC-SODの核への移行が観察された。ヘパリン結合ドメインに点変異を導入しアルギニンをグリシンに変異させたもの(NLS変異型)では、EC-SODの細胞への取り込み自体が起こらなかった。これらの脂肪細胞の結果から、EC-SODのC末端に存在するヘパリン結合ドメインは、分泌されたEC-SODの細胞内取り込みと、その後の核移行で2とおりの役割を果たしていることが明らかになった。 さらに、活性酸素(H_2O_2)の添加によってEC-SODの核移行が促進することも観察し、EC-SODは組織の酸化ストレスに応じてその分布を自ら調節している可能性が示唆された。
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