研究概要 |
遺伝的に同一な一卵生双生児は、素因をコントロールした上で、生活習慣や環境要因の影響を敏感に比較検討できる有力な研究対象である。本研究では全国各地に移住するこれらの双生児2,500組の中高年齢双生児を対象に総合的健診調査を実施し、健康度、老化度、体力度等も同胞間差異と個々の生活習慣や生活環境要因との関連を実施的に明らかにすることを目的とした。 対象と方法:把握している、双生児2,500組のうち西日本に在住する、1,300組について郵送質問紙を実施した。また、血液化学検査(各種血清脂質、アポタンパク、電解質、免疫能、モノクロナール、抗体サイトグラム、CD3・4・8・16・23・56・NK等約200項目、WAIS成人知能テスト等)および生活環境項目を面接問診調査した。 結果:ライフスタイル要因に関しては、特に食品摂取及び食物嗜好性に関する成績が注目された。一卵生双生児において塩分嗜好性、脂肪食品嗜好性の一致率が高く、養育・遺伝因子の関与が示唆された。免疫能に関しては、CD4,CD8,CD3,CD16,CD56においてライフスタイル要因の関与、特にアルコール摂取量の同胞間差異と関与する傾向がみられた。また、精神機能の老化による低下の関与が指摘されているアポタンパクEについてもライフスタイルの関与が示唆された。
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