今年度は、美山村および太地町において50歳以上の住民を対象として新たにADL調査を実施した。美山村の調査対象者は男587人、女726人で、男508人(86.5%)、女640人(88.2%)より回答が得られた。太地町では、対象者が男866人、女1094人で、男781人(90.2%)、女1035人(94.6%)より回答が得られた。調査項目は、ADL、生活の満足度、幸福感、生きがい、既往歴等である。ADLの調査項目(食事、排泄、着替え、入浴、屋内移動、屋外移動)のうち、1項目以上で介助または補助具を必要とする場合を障害ありとした。既往歴および生活の満足度、幸福感、生きがいとADL障害との関連は、ロジスティックモデルを用いて解析した。また、美山村においては、ADL調査と1988年から1989年にかけて設定したコホート1369人とのレコードリンケージを行った。2000年末まで追跡し、死亡・転出を確認した。その結果、男130人、女93人、計223人の死亡を確認できた。コホートのうち、925人についてADLの状態を評価することができた。総死亡とADL低下についてCoxの比例ハザードモデルにて関連を解析した。美山村では男では、脳卒中、心筋梗塞、悪性新生物の既往のある者で有意な関連がみられた。女では脳卒中、心筋梗塞、大腿骨頸部骨折、糖尿病と有意な関連がみられた。太地町では、男では脳卒中、糖尿病、女では脳卒中、大腿骨頸部骨折、糖尿病、腎臓病の既往と有意な関連がみられた。コホート研究では、睡眠時間が8時間以上の者では7〜8時間の者に比べ、歩行時間が30分未満の者で以上の者に比べ、天然果汁の摂取が月月2回以内の者で週1回以上の者に比べ、喫煙者において吸わない者に比べ、「生きがい」があるとはっきりいえない者でのある者に比べ死亡およびADL低下のリスクの上昇がみられた。
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