健康戦略の為のデータマイニングを用いたリスク削減手法の開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470099
• 研究機関: 聖マリアンナ医科大学
• 研究代表者: 吉田 勝美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80158435)
• 研究分担者: 市村 匠 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (10295842) ; 須賀 万智 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30339858) ; 杉森 裕樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20276554)
• キーワード: データマイニング / 健康課題 / ニューラルネットワーク / 評価

研究概要

現在の健康課題として重要な生活習慣病や新興再興感染症に対する対策を立てる上で、疾病モデルの構築は重要な課題である。これらの疾患モデルは、単一リスクではなく、複合リスクが発症に関与しており、また複合リスクが独立に関与せず、多重化して関与しており従来からの線形多変量解析モデルで説明し得ないことが昨年までの成果で明らかにされている。本年度は、医学領域に応用可能なデータマイニングの手法について特性や解析結果についてレビューを行った。複合リスクの候補とされる変数を用いて、前処理として群別に処理することが有用な手段として考えられた。この場合の群処理を統計学的指標により、客観的に処理できるか否かについては今後の健康課題と考える。実データとして、ICUにおける耐性菌感染症の予後予測データベースを用いて、neural networkと従来の比例ハザードモデルとの比較検討を行った。比例ハザードモデルは、発症までの時間を考慮した多変量生命表分析であり、ニューラルネットワークが生命表分析のモデルを再現するように複合neuralnetworkのモデルを検討した。今回は、networkの出力層の1セルを予後指標(生死の2値)、もう一つのセルでは予後発生までの時間を用いて、学習して知識獲得を行った。両モデルの比較に際して、比較可能な指標を開発した。neural networkでは、直接観察期間と予後を計算できることから、比例ハザードモデルから期間毎の発症率から累積発症率、生存率を求めて比較検討をした。neural networkの生存分析への応用に関しては、(1)単一時点の予後予測、(2)期間毎にneural networkを連続して予後予測する方法などが今後検討すべきモデルであることが理解された。知識工学的知識獲得と統計学的モデルの特性を比較したところ、事象の生起確率が10%未満の場合には、neural networkによる知識獲得には同一の入力変数で出力信号の学習に限界があった。

研究成果

• [文献書誌] 吉江誠, 目良和也, 市村匠, 山下利之, 相澤輝昭, 吉田勝美: "真偽疑問文における返答発話の肯定/否定意図の解析とWebインターフェースヘの応用"日本ファジイ学会. 14(4). 393-403 (2002)
• [文献書誌] Tatemichi M, Hamaguchi T, Hashira M, Hayashi T, Ito M, Nakatani A, Hiro H, Mori K, Okubo Y, Ezaki T, Sugimori H, Yoshida K: "Acceptability and Long-term Compliance with Drug Treatment for Hypercholesterolemia in Japanese Male Workers : I.Acceptability of Drug"Treatment Journal of Occupational Health. 44. 166-175 (2002)
• [文献書誌] Suka M, Sugimori H, Yoshida K.: "Validity of the Framingham risk Model Applied to Japanese Men"Methods of information in medicine. 41. 213-215 (2002)
• [文献書誌] 須賀万智, 吉田勝美: "データマイニングの医学分野における応用"Health Sciences. 18(3). 207-216 (2002)
• [文献書誌] Suka M, Ichimura T, Tajima M, Nakamura T, Yoshida K.: "Health support intelligent system for Diabetic patients(HSISD)"6th International conference on Knowledge-Based Intelligent Information engineering Systems. 698-702 (2002)