研究課題/領域番号 |
13470107
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
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研究分担者 |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
渡辺 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60240735)
田中 廣壽 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00171794)
河崎 寛 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80280957)
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キーワード | β1インテグリン / シグナル分子 / Cas-L / 関節リウマチ / taxトランスジェニックマウス / Fyn / lck / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
β1インテグリン分子の下流シグナル分子Cas-LはヒトT細胞のIL-2産生や細胞遊走に重要な役割を果たしている。我々はβ1インテグリン分子下流のシグナル分子であるCas-L (Crk-associated substrate lymphocyte type)の関節リウマチの病態における役割を検討した。このためにヒトT細胞白血病ウイルスタイプ1 (HTLV-1) taxトランスジェニックマウス及び関節リウマチ患者の滑膜検体を用いた。taxトランスジェニックマウスで関節炎を発生したマウス(Atg)は関節炎を発生していないtaxトランスジェニックマウス(Ntg)やその正常マウス(G)と比して脾細胞の細胞遊走能は有意に亢進していた。また脾細胞へのCas-L蛋白の発現及びそのチロシンリン酸化はAtgにおいて、Ntg及びCtと比して有意に亢進していた。さらにSrc型チロシンキナーゼであるFyn及びlckキナーゼの自己リン酸の亢進も伴っていた。さらに免疫組織染色の結果、Cas-L陽性リンパ球がAtgの病変関節に浸潤していた。さらにヒト関節リウマチ患者滑膜組織においてもCas-L陽性リンパ球、特にCD3陽性T細胞が関節炎症部位に多く浸潤していることが明らかになった。これらの結果からCas-Lは関節リウマチの病変に重要な役割を果たしており、さらにCas-Lシグナル分子のシグナルを阻害するような薬剤が関節リウマチなどの治療に用いうる可能性を示唆した。
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