研究概要 |
昨年までのヒト腸筋線維芽細胞(SEMFS)を用いた検討から,これらの細胞はIL-17に反応してIL-8,MCP-1,RANTESの発現を認め,さらに炎症性サイトカインIL-6を産生することが明らかになった.また,IL-17はSEMFSに作用して組織破壊に関与するMMP-1,3の産生を誘導した.これらの結果はT細胞の活性化に伴なって誘導されるIL-17が炎症性腸疾患の病態に深く関与していることを示している.さらに,本年度は炎症性腸疾患におけるIL-17の発現を免疫組織化学的手法により検討した.その結果,炎症性腸疾患の病変粘膜においてIL-17陽性T細胞の数的増加が確認された.特にクローン病においてその増加がはっきりしていた.またIL-17はT細胞のみならず,単球/マクロファージからの産生も認められ,さらに血中IL-17も上昇が確認された.現在,DSS大腸炎モデルを用いて抗IL-17抗体の効果を検討中であるが,抗IL-17抗体による大腸炎の発症抑制効果が認められており,臨床応用を含めた今後の展開を検討中である.
|