研究課題/領域番号 |
13470123
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
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研究分担者 |
田口 雅史 産業医科大学, 医学部, 助手 (80369058)
田代 充生 産業医科大学, 医学部, 助手 (20341498)
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キーワード | アポトーシス / nineteen kD interacting protein-3 like protein / 出血性壊死性膵炎 / 膵炎後肺障害 / differential display |
研究概要 |
急性膵炎においてアポトーシスは、その病態、特に重症化に関与していることが推測されている。急性膵炎の合併症の中で肺障害は予後に影響を与える重要な合併症であることから膵炎の早期に発現が変化する遺伝子が膵炎の進展に関与していると仮定して、膵炎後肺障害をきたすタウロコール酸膵炎ラットを用いてdifferential display (DD)を行い、候補の遺伝子の特定を行った。 無処置ラットと膵炎作製6時間後のラットの肺組織のRNAを用いてDDを行ない、増加のみられた遺伝子をクローン化した。5'RACEを行い、得られた全領域のcDNAの塩基配列を決定した。この塩基配列はヒトとマウスのnineteen kD interacting protein-3 like (NIP3L) proteinとホモロジーをもつことが判明し、まだ報告されていなかつたラットNIP3Lの全coding領域の塩基配列を決定した(accession number AB077364)。ラットのアミノ酸配列はヒトとマウスの塩基配列とほぼ一致していた。 肺においてNIP3Lは、ノーザンブロットでは無処置群で発現が認められ、膵炎後増加し、5-7日後に頂値となった。ウエスタンブロットでも膵炎1日後から発現増加がみられ、3日後には無処置群と比べ約2倍となった。免疫組織学的検討ではNIP3Lは無処置群の肺胞および細気管支の細胞に認められたが、膵炎後には両細胞ともウエスタンブロット同様に増加が認められた。TUNEL染色では膵炎後に肺胞および細気管支にTUNEL陽性細胞の増加を認め、apoptosis indexは膵炎5日後に頂値となった。 NIP3LはBcl-2と結合してアポトーシスを促進することが知られているが、NIP3Lは膵炎後の肺組織におけるアポトーシスと肺障害に関与する可能性が示唆された。
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