研究課題/領域番号 |
13470124
|
研究機関 | 国立国際医療センター(研究所) |
研究代表者 |
土肥 多惠子 国立国際医療センター, 研究所・消化器疾患研究部, 部長 (60250221)
|
研究分担者 |
松島 綱治 東京大学, 大学院・医学系研究科・分子予防医学教室, 教授 (50222427)
切替 照雄 国立国際医療センター, 研究所・熱帯感染症研究部, 部長 (50192563)
|
キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 樹状細胞 / パイエル板 / サイトカイン / ケモカイン / 常在細菌叢 / リポポリサッカライド / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
本研究の目的は、消化管における常在細菌に対する応答について腸内嫌気性グラム陰性桿菌の菌体成分に対するサイトカイン応答を指標としてその成り立ちを明らかにし、最終的には樹状細胞の機能を修飾して炎症を抑制するための基盤研究を行なうことである. 炎症性腸疾患における常在菌Bacteroides vulgatus由来のLPSに対する応答については潰瘍性大腸炎、クローン病の症例ごとに詳細な解析を行った。活動性の潰瘍性大腸炎においては、CD14陽性細胞の増加とマクロファージにおけるMD2分子の発現がみられる症例や、LPS刺激によるTNF-α応答が異常な高値を示す症例があった。この症例における異常なTNF-α産生はToll様受容体-4依存性であったため、病態への腸内細菌の関与が示唆された。 マウス骨髄由来樹状細胞への遺伝子導入に関しては、レトロウイルスベクターを使用した遺伝子治療の副作用の問題が明らかになってきたため、本年度は、新たな樹状細胞機能修飾法として、細胞の細胞内輸送系を利用したタンパク質導入法の開発を試みた。導入のツールとしてコレラ毒素Bサブユニットの適用を試みた。野生型のコレラ毒素は生体膜構成糖脂質GM1に結合した後、GM1依存的なエンドサイトーシスによりマウス樹状細胞のゴルジ体に取り込まれる。その後、Aサブユニットに存在するKDEL配列によりERへと逆輸送され、Aサブユニットは効率的に細胞質内へと放出される。KDEL配列の変異型コレラ毒素を作製し、樹状細胞内の輸送を解析したところ、ゴルジ体には取り込まれるが、ERへは逆輸送されないことが明らかとなった。ゴルジ体は蛋白修飾の重要な場であり、上記変異型コレラ毒素を用いることで、樹状細胞に直接タンパク質を導入し、その機能を修飾できる可能性が示唆された。
|