研究概要 |
喫煙マウスにおける終末細気管支上皮細胞における分子生物学的解析 本研究は、マウスに喫煙暴露後の細気管支上皮細胞における遺伝子発現を系統的、経時的に明らかにすることを目的とした。マウスに連日喫煙させ、肺気腫を発症する6ヵ月後に屠殺し、凍結標本からLaser capture microdissection法を用いて細気管支上皮のみを選択しRNAを抽出し、そのRNAを増幅し、Affimetrix社製Genechipを用いて増幅前後での均等性を検証した。さらに6,000種類の既知、6,000種類の未知遺伝子の増減プロファイルを経過をおって検討し、さらに全肺RNAを用いた解析との比較を行い米国胸部疾患学会にて発表した(T.Betsuyaku,2002,5月)。 肺内グルタチオンにおける加齢と慢性喫煙の影響 若年喫煙、非喫煙者、および中高年のBAL液、肺胞マクロファージの検体について、喫煙に対する加齢の影響がどのように反映されているかを検討した。非喫煙者のみでは加齢による総グルタチオン、及びその酸化型の差はみられなかった。喫煙者では非喫煙者に比べ総グルタチオンが若年、中高年共に有意に高値であった。GSSGは中高年では喫煙者の方が有意に増加しており喫煙指数と相関が見られたのに対し、若年では非喫煙者と同レベルであった。中高年では喫煙でGSH/GSSG比が有意に低下していたが、若年では逆に増加する傾向があった。中高年における肺気腫病変の有無では差を認めなかった。Extracellular glutathione peroxidase (eGPx)量はGSSG多寡を説明しうるものではなかった。加齢および経年喫煙は肺のアンチオキシダント機構を変化させる可能性を示唆する。
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