研究課題/領域番号 |
13470126
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
久保 惠嗣 信州大学, 医学部, 教授 (80143965)
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研究分担者 |
太田 正穂 信州大学, 医学部, 講師 (50115333)
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 助教授 (70242691)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 助教授 (80238815)
花岡 正幸 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (20334899)
小泉 知展 信州大学, 医学部, 講師 (20273097)
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キーワード | 高地肺水腫 / 遺伝子多型 / 一酸化窒素 / 内皮型一酸化窒素合成酵素 / 肺高血圧 / チロシン水酸化酵素 / 低酸素換気応答 / 頚動脈体 |
研究概要 |
1、高地肺水腫既往者における内皮型一酸化窒素合成酵素(endothelial nitric oxide synthase ; eNOS)遺伝子多型について 一酸化窒素(nitric oxide ; NO)は内皮由来血管弛緩因子として同定され、肺循環系においては血管のトーヌスを調節し、肺血管抵抗を低く保つ。高地肺水腫患者にNOを吸入させると、肺動脈圧が低下し、酸素化能の改善が得られる。また、高地肺水腫既往者の呼気中NOは、低酸素環境において明らかな低値を示し、肺動脈圧との間に有意な負の相関を認める。つまり、NOの産生障害が高地肺水腫の発症機序として注目されている。そこで高地肺水腫既往者と健常登山家において、eNOS遺伝子のGlu298Asp変異(298番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換)とイントロン4b/a多型(第4イントロン中の27塩基対の繰り返し構造)を調べた。その結果、Glu298Asp変異とイントロン4b/a多型のうちのeNOS4aが、高地肺水腫既往者で有意に高頻度であった。すなわち、eNOS遺伝子の変異が高地環境におけるNOの産生低下をもたらし、高度な肺高血圧を惹起すると考えられた。さらに、eNOS遺伝子多型は高地肺水腫の重要なマーカーとなる可能性が示唆された。 2、高地肺水腫既往者におけるチロシン水酸化酵素(tyrosine hydroxylase ; TH)遺伝子多型について 高地肺水腫既往者は、健常登山家に比し明らかに低い低酸素換気応答(hypoxic ventilatory response ; HVR)を示す。さらに、HVR値と分時換気量の増加度との間に有意な正の相関を認める。HVRは頚動脈体でのドーパミン産生に依存し、このカテコラミン産生経路で最も重要な酵素がTHである。TH遺伝子には(TCAT)_n多型(第1イントロン中の4塩基対の繰り返し構造)とMet81Val変異(81番目のバリンがメチオニンに置換)が知られている。高地肺水腫既往者と健常登山家でこれら遺伝子多型を比較したところ、有意な差は認めなかった。
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