研究概要 |
3年間で以下の成果を得た. 【マウスモデル】シリカに対する感受性から高感受性マウスC57BL/6J(B6)と抵抗性マウスCBA/J(CBA)マウスを交配させたF2マウスにおいて、各マウスの線維化指標のハイドロキシプロリンを測定した.その後F2マウスから25匹(13匹の高感受性群、12匹の低感受性群)のDNAを用いて約7.4cMの間隔で全染色体について連鎖解析をおこなった.その結果、染色体の3、4、5、6、10、11、14、15番にsuggestive locusが検出された.これらの1ocusを全F2マウス117匹のDNAを用いて連鎖解析を進めたところ第4染色体でsignificant locusが第3および14染色体でsuggestive locusが認められた. 【珪肺症患者の検討】124名の珪肺症患者を胸部レ線所見(ILO分類)にて、カテゴリー1(47名)、カテゴリー2(13)、カテゴリー3(24名)、大陰影を有するPMF(44名)の4群に分けた.肺線維症の候補遺伝子の一つであり、分泌量に関わるTNF遺伝子プロモーター領域-308(G/A)の多型を検討した.結果、珪肺症患者で対照群に比較し有意に-308Aの頻度が高く(P<0.01)、粒状影を持つ珪肺症でPMF群よりも-308Aの頻度が高かった(P<0.05). また、自然免疫に関与するmannose binding lectin(MBL)の多型を珪肺症患者で調べた.粒状影群(94名)、PMF群(48名)、非暴露コントロール群(84名)に分けて、日本人で唯一見られる遺伝子多型コドン54を検討した.結果それぞれのmutant alleleの頻度は、26.8,35.5,17.4%であり、3群間に有意差を認めた.PMFの形成にMBLの関与が示唆された.(755字)
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