研究課題/領域番号 |
13470132
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
葛原 茂樹 三重大学, 医学部, 教授 (70111383)
|
研究分担者 |
佐々木 良元 三重大学, 医学部, 助手 (60303723)
小久保 康昌 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (60263000)
成田 有吾 三重大学, 医学部, 助教授 (50242954)
|
キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン痴呆複合 / 神経難病 / タウ蛋白 / 神経原線維変化 / パーキンソニズム / 痴呆 |
研究概要 |
次の各項目について、研究を行い、以下の結果を得た。 1.臨床像の確立 多発地区出身者で10歳代で離村後30年以上を経て発症した紀伊半島の筋萎縮性側索硬化症(ALS/パーキンソン痴呆複合(PDC)3症例について神経学的および神経病理学的に検討を行い、遺伝素因の重要性を再度確認した。14例のKii ALS/PDCについて、頭部CT, MRI, 脳血流シンチを用いて神経放射線学的に検討し、本疾患に特徴的な神経画像所見を明らかにした。複数の症例に大脳感覚誘発電位を施行し、特徴的な所見を得た。また、グアム島のALS/PDC患者に高頻度に出現する特異なretinopathyをKii ALS/PDC患者において初めて確認した。 2.遺伝様式の確定と遺伝子解析 発症者とその家族の同意を得て作成した正確な家系図とDNA採決を用いて連鎖解析を施行中である。 3.タウ淡白解析、免疫組織化学、高性能の反射コントラスト顕微鏡(Reflexion Contrast Microscope : RCM)による脳内各種封入対の細胞生物学的検討 これまでに得られた10例の剖検例の脳組織を用いて、タウ蛋白のアイソフォーム分析を行った。中枢神経に蓄積した異常タウ蛋白のリン酸化部位とリン酸化酵素の同定や微細構造を明らかにするために、各種の抗タウ抗体を用いた免疫組織化学、蛍光免疫組織化学およびRCMを用いた免疫電顕研究を漸次遂行中である。 本年度の研究によって、Kii ALS/PDCは臨床神経病理学的に他の神経変性疾患とは異なる、特異な一疾患単位であることがさらに明瞭となった。残りの1年間で原因遺伝子の探索を一層押しすすめ、さらに異常タウ蛋白の細胞生物学的検索を行い、本疾患の原因や発症機序を明らかにする。
|