研究課題/領域番号 |
13470134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴崎 浩 京都大学, 医学研究科, 教授 (30037444)
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研究分担者 |
美馬 達哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (20324618)
目崎 高広 京都大学, 医学研究科, 助手 (40335287)
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (90212761)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10231490)
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 教授 (90181297)
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キーワード | ジストニア / 運動皮質抑制機構 / 経皮的磁気刺激 / 書痙 / 補足運動野 / 運動前野 / 感覚運動連関 |
研究概要 |
最終年度として、ジストニア患者での病態生理の検討(1)と、関連する大脳皮質の運動皮質興奮性について(2、3)さらに検討し、特に皮質抑制機構の正常状態と異常病態をそれぞれ明らかにできた。 1)経皮的磁気刺激法による運動皮質の抑制機構の検討と低頻度磁気刺激による運動皮質の興奮性の変容とその治療効果の検討 10例の書痙患者(男7名、女3名、平均36.8歳)において、一次運動野、運動前野、補足運動野に対し経頭蓋反復磁気刺激を行い、臨床症状とsilent period (SP)の変化とを比較した。一次運動野、運動前野についてはresting motor thresholdの85%の強度で、補足運動野についてはactive motor thresholdの強度で、各々頻度0.2Hzにて250回の刺激を行った。その結果、運動前野刺激時には10例中7例(70%)で臨床症状の改善とSPの延長(p<0.002)とを認めた。しかし、他の刺激部位では変化を認めなかった。以上の結果から、運動前野に対する低頻度経頭蓋反復磁気刺激には皮質の抑制効果があり、書痙治療に有効と考えられた。 2)対刺激による運動関連脳電位および誘発電位記録による感覚運動連関の検討 視覚性対刺激に反応する状況において、ヒトの運動前野を中心に刺激に伴う運動関連脳電位および誘発電位記録を行った。第1刺激後、経時的に視覚刺激の知覚、運動選択のための視覚刺激の識別、運動の準備、運動の遂行に関連する神経活動が、外側運動前野内で吻側から尾側へ活動部位を推移させながら記録された。以上の所見より、外側運動前野内で経時的に吻側から尾側へと認知から運動関連機能への機能分化の構築が示唆され、ジストニアにおいては、これらの機序の破綻が示唆された。 3)筋電図・脳波連関 ヒト一次感覚運動野を低頻度磁気刺激することで一過性に触覚閾値が上昇することを示し、一過性の局所の脳機能抑制を見い出した。また、ヒト運動前野への低頻度磁気刺激の直後には脳波-筋電図コヒーレンスが減少していることを明らかにした。これは大脳と筋活動間の機能的カップリングが、運動前野刺激によって一時的に抑制されたことを示唆する。
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