1.(1)心筋において豊富に発現していることがすでに報告されているorphan G protein-coupled receptor(GPCR)のうちそのcDNAを入手可能であった7種および新たに心筋での発現を確認した6種について主として実験を行なった。ウシの心筋抽出液からC18カラムでペプチド成分を抽出し、逆相クロマトグラフィーにて分画したサンプルをそれぞれのGPCRを発現させたHEK293T細胞と反応させFLIPR assayにて活性を測定した(第1回スクリーニング)。その結果、1つのGPCRにおいて特定の分画に有意の反応が認められ、その有意の反応は合計5回再現性が確認されたことから、特異的なリガンドがその分画に含まれていると判断した。第1回スクリーニングで反応の見られた分画をさらに逆相クロマトグラフィーにて分画して第2回スクリーニングを行なったところ、一部の分画で反応が認められた。現在さらに再現性を検証中である。(2)FLIPR assayより高感度と考えられるメラノフォアーを用いた活性測定法にて逆相クロマトグラフィーにて分画したサンプルとこれらのGPCRとの反応を同様に検討したところ、FLIPR assayにて再現性が確認された1種類でのみ有意と思われる反応が見られたが再現性は確認できなかった。以上より、先に特異的な反応が認められたGPCRにしぼってFLIPR assayにてさらに精製を進めている。2.脳室上衣細胞無血清長期培養上清中に心筋細胞と下垂体細胞に特異的に作用して細胞内Ca濃度を上昇させる生理活性物質があることが分かったため、1.と同様の系で精製を開始した。脳室上衣細胞培養上清中のペプチド成分を逆相クロマトグラフィーにて分画したサンプルをラット培養心筋細胞、ウズラ心筋cell lineに負荷したところ、有意の活性を持つ分画が認められた。
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