研究課題/領域番号 |
13470141
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70167609)
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研究分担者 |
佐田 政隆 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80345214)
鈴木 越 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40313134)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | カルシニューリン / 動脈硬化 / MCP-1 / アデノウイルス / 血管平滑筋 / マクロファージ / アポトーシス |
研究概要 |
我々はこれまで種々の心血管作働物質の循環器病における病態生理的役割を検討してきた。これらの物質は単に血管緊張度を調節するばかりでなく、体液量調節さらには細胞の増殖肥大にも重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。さらに近年、細胞内情報伝達機構の解明が進み、血管拡張性物質と血管収縮性物質のクロストークさらには細胞のアポトーシスが動脈硬化の発生に関わっていることが示唆されている。そこで本研究では代表的な血管収縮物質であるアンジオテンシンII(AII)ならびに血管拡張物質であるアドレノメデュリン(AM)についてアポトーシスを含めて血管構成細胞における作用を検討した。(a)細胞においてAIIにより転写因子であるMEF2AおよびNFATを介する転写が亢進することが示された。AIIによる血管平滑筋の脱分化、肥大は少なくとも一部はこれらの転写因子を介する。(b)calcineurinは血管平滑筋でMCP-1の発現を増加させ血管の炎症を促進し、新しい動脈硬化の発生機序の存在が明らかになった。(c)インスリン抵抗性ラットでは血管内皮・平滑筋機能障害が存在するが、statinの投与により改善する。この機序としてstatinは血管におけるRhoの活性化を抑制してeNOSをupregulateし、平滑筋の過収縮を改善し、インスリン抵抗性における血管障害に対して抑制的に働いている。(d)血管内皮細胞ではAMPKが抗アポトーシス作用を発揮する。この作用の少なくとも一部はPI3K/Akt pathwayによるGSK-3bリン酸化を介している。(e)AMおよびNOは内皮細胞のアポトーシスをcGMP非依存性に抑制する。(f)AMによるNO遊離の細胞内作用機序を検討したところ、AMもPI3K/Aktを介したNO産生の促進によって血管緊張度や血管新生を調節している。以上よりこれらの因子の制御により新しい動脈硬化の抑制法を開発したいと考えている。
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