研究概要 |
近年、STAT系の内因性阻害因子であるCISファミリー(あるいはSOCSファミリー、SSIファミリー)が同定された。これらの分子はSTATが活性化されることによって速やかに陰電子誘導されることから、STATを介する情報伝達系との間でNegative feedback機構を形成している。 循環器領域、とくにエンドトキシンによる左室機能不全はサイトカインの関与が注目されている。この様な観点から、本年度は、エンドトキシンモデルとして非致死量のLPSを腹腔内投与すると、心臓でのSTAT1,STAT3のリン酸化とNF-κBの活性化に引き続いて、左室の収縮不全を生じることが観察された。我々は、L-6のファミリーであるCT-1(cardiotrophin-1)が、STAT1やSTAT3をリン酸化した後、SOCS1、SOCS3を誘導することを報告したが、CT-1前投与することによって、CT-1によって誘導されたSOCSがLPSによる左心機能低下に対して耐性になるか確かめた。αミオシン重鎖遺伝子転写調節領域を用いてSOCS1を心筋細胞に過剰発現させたマウスでは、非致死量のLPSを投与しても左室機能の低下が野生型と比べて有意に抑制されていた。さらに過剰発現マウスではLPSによるSTAT1,STAT3のリン酸化、NF-κBの活性化が抑制されていた。
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