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2001 年度 実績報告書

虚血プレコンディショニングによる心保護機序の解明と急性心筋梗塞治療への臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 13470147
研究機関大阪大学

研究代表者

佐藤 秀幸  大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70167435)

研究分担者 堀 正二  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20124779)
武田 裕  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20127252)
北風 政史  国立循環器病センター, 生理機能検査部, 部長 (20294069)
葛谷 恒彦  大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (80150340)
宮崎 純一  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10200156)
キーワードecto-5'-nucleotidase / アデノシン / 心筋梗塞 / p38MAPキナーゼ / プロテインキナーゼC / HSP27 / 多施設臨床試験 / KATPチャネル開口剤
研究概要

1.我々はアデノシン産生酵素であるecto-5'-nucleotidaseを過剰発現させたマウスの作成に成功した。そのマウスを用い、in vivoの系にて冠動脈を30分虚血・2時間再灌流した後にエバンスブルー・TTC2重染色を行って心筋梗塞サイズを測定したところ、コントロール群の49%に比べ、24%と著明に心筋梗塞サイズが縮小した。係るマウスにアデノシン受容体阻害剤8-SPTを前投与すると心筋梗塞サイズ縮小効果は完全に消失した。虚血刺激でecto-5'-nucleotidaseがすばやく活性化され、アデノシン産生が増加することは既に昨年までの実績にて報告しており、これで虚血時に産生されるアデノシンは心筋保護的に作用していることが示された。
2.次に、麻酔開胸ビーグル犬にてプレコンディショニング操作を施行すると、90分虚血・6時間再灌流で形成される心筋梗塞サイズは対照の37%から9%に著明に縮小した。この効果はプロテインキナーゼC阻害剤の虚血前投与、p38MAPキナーゼの虚血前投与で共に完全に消去された。さらに細胞膜・ミトコンドリアKATPチャネル各々の開口阻害にて、プレコンディショニングの心筋保護作用は部分的に阻害され、両者の阻害にて始めて完全に消去された。HSP27はプレコンディショニングにて活性化され、筋原線維に細胞内転位を起こしたが、それらはp38MAPキナーゼ阻害剤にて完全に消去された。(論文報告済)。また、p70S6キナーゼを阻害すると、直後の虚血に対する保護効果は惹起しなかったが、24時間後に惹起される「セカンドウィンドウ」現象は完全に遮断された。(学会発表済)
3.臨床的検討においては、我々は(アデノシンに体内ですばやく代謝される)ATP製剤、及びKATPチャネル開口剤・ヒトANP製剤をそれぞれ心筋梗塞症例の超急性期に投与して左心機能予後、運動耐容能予後を検討する多施設臨床試験(COATスタディー)を、各施設倫理委員会の承認の下に実施した。約40例のエントリーにて心筋梗塞発症1年後の左心機能予後が有意に改善していることが確認された。また我々はKATPチャネル開口剤・ヒトANP製剤をそれぞれ心筋梗塞症例の超急性期に投与する多施設臨床試験(J-WINDスタディー)も進行中である

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sanada, Kitakaze, Takashima, Horei et al.: "Role of the Mitochondrial and Sarcolemmal KATP Channels in Ischemic Preconditioning on the Canine Heart"Am J Physiol Heart Circ Physiol.. 280・1. H256-H263 (2001)

  • [文献書誌] Sanada, Kitakaze, Takashima, Kuzuya, Hori et al.: "Role of Phasic Dynamism of P38 Mitogen-activated Protein Kinase Activation in the Ischemic Preconditioning on the Canine Heart"Circ Res.. 88・2. 175-180 (2001)

  • [文献書誌] Sanada, Kitakaze, Takashima, Kuzuya, Hori et al.: "Cardioprotective Effect Afforded by Transient Exposure to Phosphodiesterase-III Iinhibitors"Circulation. 104・6. 705-710 (2001)

  • [文献書誌] Kitakaze, Takashima, Sanada, Hori et al.: "Role of cellular acidosis in production of nitric oxide in canine ischemic myocardium"J Mol Cell Cardiol.. 33・9. 1727-1737 (2001)

  • [文献書誌] Asanuma, Kitakaze, Takashima, Sanada, Hori et al.: "Nifedipine limits infarct size via NO-dependent mechanisms in dogs"Basic Res Cardiol.. 96・5. 497-505 (2001)

  • [文献書誌] Asanuma, Kitakaze, Takashima, Sanada, Hori et al.: "Benidipine, a long-acting Ca channel blocker, limits infarct size via bradykinin-and NO-dependent mechanisms in canine hearts"Cardiovasc Drugs Ther.. 15・3. 225-231 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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