心臓の再生治療を目的として傷害部位への骨格筋芽細胞ないし骨髄間葉系細胞由来の心臓前駆細胞の移植が行われつつある。この治療法の成否には移植細胞が既存心筋細胞とgap junctionを介した組織再構築を行うことが重要である。我々の検討では不全心においてGap junctionの機能異常が心不全の病態(機能不全及び不整脈)に深く関わることを見いだした。そのメカニズムとして心不全時に活性化するc-SrcがGap junctionの燐酸化を介してGap junctionの膜内安定化を失わせることを発見した。我々は心筋細胞間のGap junction再構築を目指して、その発現を増加させる増殖因子の一種Wnt蛋白質を心筋細胞と繊維芽細胞の混合培養系に作用させた。Wnt蛋白質は心筋細胞の接着結合の増加も伴い心筋細胞の集合化と同期的収縮を開始した。さらに心筋梗塞モデルにおいても周辺部位でのWnt蛋白質の受容体であるfrizzledの増加が認められた。LacZマウスの骨髄より分離した心筋幹細胞を骨髄移植したマウスに心筋梗塞を作成し、骨髄由来の細胞が修復過程で出現することを現在検討中である。
|