研究課題/領域番号 |
13470149
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金出 英夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80038851)
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研究分担者 |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
西村 淳二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90237727)
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キーワード | ミオシン軽鎖燐酸化 / ミオシン脱燐酸化酵素 / 血管平滑筋細胞 / 細胞質Ca^<2+>濃度 / Ca^<2+>感受性 / TAT-Protein / MYPT1 |
研究概要 |
ミオシン脱燐酸化酵素の130kD調節サブユニット(MYPT1)のフラグメントを平滑筋に外因性に投与すると、38kD触媒サブユニットとの相互作用を障害するためにミオシン脱燐酸化が阻害され、Ca感受性亢進を引き起こすことが知られている。本年度はこの分子機構を解明した。蛋白質にTAT-PTDドメイン[HIV-1 trans-activating protein(TAT)のprotein transduction domain(PTD)]を結合させ、血管標本の平滑筋細胞内に無傷で導入する方法を開発したので、これを用いた。MYPT1のN末端領域1-171、1-296、1-374、39-296、39-374、297-374を、それぞれTAT蛋白質との融合蛋白質TAT-MYPT1^<1-171>、TAT-MYPT1^<1-296>、TAT-MYPT1^<1-374>、TAT-MYPT1^<39-296>、TAT-MYPT1^<39-374>、TAT-MYPT1^<297-374>として発現させ、精製した。118mMK^+脱分極刺激(外液Ca^<2+>濃度1.25mM)によるブタ冠動脈条片の収縮に及ぼす3μM TAT-MYPT1の影響を解析した。発現には、pTATHAベクターを基に、独自に作製したベクターを用いた。発現蛋白質は、TAT PTDペプチドに加えて、(His)_6タグとhemagglutininタグを有する。グアニジン変性条件下、Ni-アフィニティーカラムで蛋白質を精製し、イミダゾールを含む溶液で溶出した。ブタ冠動脈条片をTAT-MYPT1^<1-374>で処理しておくと、収縮が約2.4倍増強した。TAT-MYPT1^<1-296>は約1.7倍増強した。TAT-MYPT1^<1-171>、TAT-MYPT1^<39-296>、TAT-MYPT1^<39-374>、TAT-MYPT1^<297-374>には増強効果がほとんど無かった。TAT-MYPT1^<1-374>で処理した血管条片Ca-張力関係は明らかな左方移動を示し、Ca感受性の増大があった。Ca感受性の増大にはMYPT1のN末端領域1-296領域が必須であること、297-374の領域はCa感受性の増大をさらに増強させることが明らかとなった。
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