研究課題/領域番号 |
13470149
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金出 英夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80038851)
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研究分担者 |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
西村 淳二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90237727)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 血管平滑筋細胞 / Ca^<2+>シグナリング / Ca^<2+>感受性 / 血管攣縮 / トロンビン / クモ膜下出血 / ミオシン燐酸化 / ミオシン脱燐酸化酵素 |
研究概要 |
本研究は『血管攣縮・緊張亢進』の機序、特に、平滑筋の『Ca^<2+>感受性亢進の分子機構』について検討した。(1)家兎脳底動脈のCa^<2+>感受性制御に関与する新しいprotein kinaseの探索を試みた。αトキシン脱膜処理の中膜標本にATPγSを投与すると、収縮装置のCa^<2+>感受性が増強する。これはCa^<2+>非依存性でミオシン軽鎖燐酸化を伴う。Y27632(Rho-kinase阻害薬)はこれを阻害できない。このprotein kinaseを新しい酵素として論文報告した。現在、その単離同定を試みている。(2)ミオシン脱燐酸化酵素の130kD調節サブユニット(MYPT1)のフラグメントを平滑筋に外因性に投与すると、ミオシン脱燐酸化が阻害され、Ca感受性亢進を引き起こすことが知られている。この分子機構を解明した。これに際して、蛋白質にTAT-PTDドメイン[HIV-1 trans-activating Protein(TAT)のprotein transduction domain(PTD)]を結合させ、血管標本の平滑筋細胞内に無傷で導入する方法を開発した。MYPT1のN末端領域1-171、1-296、1-374、39-296、39-374、297-374を、TAT蛋白質上の融合蛋白質として精製し、118mM K^+脱分極によるブタ冠動脈条片の収縮に及ぼす3μM TAT-MYPT1の影響を解析した。その結果、Ca感受性の増大にはMYPT1のN末端領域1-296領域が必須であること、297-374の領域はCa感受性の増大をさらに増強させることが明らかとなった。(3)家兎脳底動脈のトロンビン攣縮モデルの作製に成功した。これは、「クモ膜下少量出血(自家血トロンビン少量産生)⇒脳底動脈平滑筋トロンビン受容体の過剰発現⇒トロンビン誘発の脳底動脈攣縮」という全く新しい攣縮機序のモデルである。冠動脈攣縮モデル豚の強烈な攣縮局所血管にも微量の出血が見られることから、冠動脈攣縮においても、同様の機序の関与が強く示唆される。この新しいモデルを用いることによって、血管攣縮の機序解明が大いに進展することと期待される。
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