研究概要 |
【目的】骨髄血より心筋分化能を有する可能性のある細胞を単離し、増殖し、分化誘導を試みた。 【方法】(1)骨髄血よりauto MACSを用いて、CD45陰性、CD29陽性、CD34陰性、CD44陽性の細胞群を単離し、ファイブロネクチン塗布培養皿上に接着させた。(2)この細胞を培養し、細胞の増殖曲線を作成した。(3)この細胞の表面抗原をFACS解析した。(4)この細胞をインスリン存在下で培養し、脂肪細胞への分化を観察した。(5)この細胞を0.1mMデキサメサゾン、0.05mMアスコルビン酸-2リン酸、10mMβ-グリセロフォスフィト存在下で培養し、骨芽細胞への分化を観察した。(5)この細胞を既知の種々の増殖因子で刺激し、心筋分化を観察した。 【結果】(1)骨髄血より上記表面抗原の抗体を利用することにより、付着系の間葉系幹細胞が回収できた。この細胞はin vitroである程度増殖させることが可能であった。(2)CD29陽性、CD45陰性、CD44陽性、Cn34陰性、CD13陰性、CD49e陽性であった。(3)インスリン存在下ではこの細胞は脂肪細胞に分化した。(4)デキサメサゾン、アスコルビン酸-2リン酸、β-グリセロフォスフィト存在下ではこの細胞は骨芽細胞に分化した。フォンコッサ染色陽性の細胞が観察された。(5)この細胞はIGF-1,FGF,TGFb,LIF,EGF,PDGF,エンドセリンでは心筋分化の誘導活性は無かった。しかし、Wntにより心筋特異的転写因子の一部が誘導された。 【結論】骨髄血細胞中の間葉系幹細胞はある種の増殖因子により心筋分化が誘導されると考えられた。
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