再生医療は現在もっとも注目されている分野であり基礎研究成果を臨床応用する探索医療が活発に進行している。循環器領域では血管新生の分野が世界で一番研究がなされている。私達は骨髄細胞には血管内皮細胞、心筋細胞、平滑筋細胞などの心血管系構成細胞の幹細胞が含まれ、さらに、骨髄細胞自身が強力な血管新生因子であるVEGFやbFGFを分泌することを明らかにした。基礎研究を重ね、ヒト虚血肢(ASO・バージャー病)に対して自己骨髄単核球細胞を利用した血管新生療法を開始した。2000年6月より、2004年2月1日までに外科的・内科的治療によっても血行再建の認めない患者175人の虚血下肢に対して自己骨髄細胞移植が実施された。治療効果は評価され高度先進医療の保険給付を厚生労働省より承認された。難治性狭心症4例への細胞移植では狭心痛の著明改善(CCSクラスIVからI)、心筋虚血部の壁運動改善(シンチ、エコー、NOGA解析)、心機能改善(LVG : EF11%□23%増加)が見られた。不整脈の発現は2年間見られない。心筋や骨格筋内にも心筋に分化可能な幹細胞群が発見され、この細胞を増殖させ心筋梗塞巣に移植する探索医療もスタートした。 血管新生は再生医療のなかでも最も発展した分野であり、これらの基礎研究・臨床試験は2年間にわたり科学研究費を援助していただいたことにより達成いたしました。ここに深く謝意を表すものであります。
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