研究概要 |
平成13年度の研究計画は1.ヒトキマーゼ遺伝子導入(hC-Tg)マウスとAT1受容体ノックアウト(AT1KO)マウスの交配により、hC+/-,AT1-/-とhC+/-,AT1+/+マウスを確立する。2.1で確立されたhC+/-,AT1-/-とhC+/-,AT1+/+マウスの基本的表現型比較。であった。筑波大学深水博士の御好意により供与されたAT1KOの雌マウスとhC-Tgの雄マウスを交配し、得られたF1世代をPCR法によりスクリーニングしてhC+/-でAT1+/-雄雌マウスを見い出した。さらにその両者の交配をかけF2を得た。F2のPCRによるスクリーニングによりhC+/-,AT1-/-マウスを見い出した。そしてhC+/-,AT1+/+マウスに元来観察されていた表現型、すなわち体重減少、乏毛、骨髄増殖に伴う白血球増多、軽症高血圧、心肥大について検討した。hC+/-,AT1-/-マウスでは心拍数に変化なく、体重減少は存在し、血圧は正常化し、心肥大も消失していた。したがって、hC-Tgで観察された心肥大、軽症高血圧はアンジオテンシンII依存性であることが明らかになった。その他の表現型すなわち、体重減少、白血球上昇、乏毛等に関しては原因検索中である。これらの結果は局所組織のヒトキマーゼ依存性アンジオテンシンII産生が軽症高血圧とそれに伴った心肥大を惹起することを示唆する。これらの成果は本年度第66回日本循環器学会と第19回世界高血圧学会にて発表予定である。
|