研究概要 |
ウィリアムズ症候群(WS)は7q11.23の部分欠失により、その領域に含まれる隣接遺伝子群が1コピーとなって起こる。主症状は、独特の容貌、心奇形を主とした循環器系異常、精神遅滞、空間認知能欠除などである。WSに見られる欠失のメカニズムは、患者に共通する欠失領域の両端に隣接する高度に相同なDNAによって媒介された減数分裂時の不等組み換えだと考えられている。本研究ではWSの欠失領域の両端に存在する反復ユニットを我々の持つ「低頻度反復ユニット攻略のノウハウ」を活かして、反復ユニットの位置、長さを確定し、塩基配列レベルで反復ユニットを解析し、さらには欠失領域に存在する遺伝子群の同定を行うことを目的とした。 反復ユニットの同定は以下のように行った。 1)既存の塩基配列概要データベースからWSの欠損領域に相当する約50クローンを抽出した。 2)各クローンの末端塩基配列を用い、コンティグの作成を行なった。 3)各コンティグに含まれるBACの塩基配列を用いてドットマトリクス解析を行い、反復ユニットよる整列の間違いを正し、最終的に配列上の矛盾の全くないコンティグを作成した。 4)作成したコンティグは1つのクローンギャップ、6つ以上のシーケンスギャップが当初(2001年9月)存在したが、概要配列から終了配列への進展に伴い、現在(2002年3月)はほぼ完成している。 5)続いて整列化した配列に対し再度ドットマトリクス解析を行い、反復ユニットの詳細な解析を行った。 6)反復ユニットは大きく5種に分類することができ、その大きさの順にそれぞれユニットA, B, C, D, Eと命名した。 7)特にユニットBは複雑な重複を起こしており、4つ以上の断片が見つかっている。 現在、この領域に対し我々の研究室で作成したBACライブラリーを用いて候補クローンの抽出を行っている。
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