研究課題/領域番号 |
13470172
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 邦彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20110851)
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研究分担者 |
小林 照明 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40314314)
佐野 栄紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80273621)
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30136791)
小澤 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50301255)
吉良 正浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90314335)
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キーワード | 皮膚 / 幹細胞 / STAT3 / p130Cas / 創傷治癒 / バルジ / Lig-1 |
研究概要 |
皮膚の幹細胞は真皮乳頭に接する表皮基底層や毛包の立毛筋が付着する毛隆起に局在すると推測されており、創傷時には表皮のみならず毛包の幹細胞も活性化され真皮マトリックス上を遊走し表皮を再生する。我々はCre-LoxPシステムにより表皮細胞特異的にSTAT3を欠失させたマウスを作成し、皮膚創傷治癒と毛包の再生には繊維芽細胞の産生するHGFによる表皮細胞におけるSTAT3の活性化が必須であることを明らかにしてきた。そこでSTAT3シグナルによる遊走メカニズムを明らかにするため、表皮細胞の遊走に関わるintegrin, MMPやfocal adhesion分子の燐酸化状態に対するSTAT3の関与につき検討した。その結果、STAT3欠失マウスではfocal adhesionを構成する分子であるp130Casが特異的に過リン酸化されていおり、focal adhesionの再構成ができないために遊走障害にいたることが明らかとなった。 Lig-1はleucine-rich repeatsとimmunoglobulin like domainsを有する1型の膜貫通型糖タンパク質であり、マウスでは脳のグリア細胞に特異的に発現している。我々は脳以外での発現について詳細に検討し、皮膚特に毛包のバルジ領域に限定してmRNA発現を認めることを明らかにした。この部位には毛包の幹細胞が局在することよりLig-1が皮膚の幹細胞に特異的に発現している可能性が考えられた。さらにLig-1のノックアウトマウスでは、神経学的な異常は認めなかったもの、顔面、尾部皮膚の肥厚と落屑を生じ、乾癬様の組織所見を示した。乾癬では幹細胞の過剰動員が知られており、Lig-1は皮膚幹細胞において抑制的な役割をすると推測された(第62回米国研究皮膚科学会、2001年、5月)。
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