PET診断用放射性薬剤合成装置のミニチュア化に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470177
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 岩田 錬 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (60143038)
• 研究分担者: 谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787) ; 山崎 浩道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00166654)
• キーワード: PET / 自動合成 / ミニチュア合成装置 / 比放射能 / 放射性薬剤 / 標識合成

研究概要

本研究の中間年度にあたる14年度は当初の計画に従い、[^<18>F]フルオロメチルトリフレート自動合成用ミニチュア装置の開発、高比放射能[^<11>C]ヨウ化メチル合成装置の開発、放射線分解反応の基礎的検討、の3つの課題について研究を進めた。
1.[^<18>F]フルオロメチルトリフレート自動合成用ミニチュア装置の開発:まず[^<18>F]フルオロメチルトリフレートの標識前駆体としての有用性を示すため、前年度に合成できた[^<18>F]フルオロコリン同様がんの診断に有用だと期待される[^<18>F]フルオロメチル-L-チロシンの合成を試み、これに世界で初めて成功し発表した。これらの診断薬の合成装置をミニチュア化するため、小型化した加熱装置を組み込んだマニホールド電磁弁を中心とする装置を試作した。また、これに使用するネットワーク対応型の制御装置を試作した。来年度にはプログラムの開発と装置の調整を行い、ミニチュア合成装置として完成する予定である。
2.高比放射能[^<11>C]ヨウ化メチル合成装置の開発:気相合成法である[^<11>C]メタンとヨウ素との反応による[^<11>C]ヨウ化メチル合成法に関して検討を加えた結果、従来合成終了時点で1-2 Ci/μmol程度であった比放射能を6-8 Ci/μmolまで改善することに成功した。しかしこの値は現在知られている最高値の100 Ci/μmolに比べ依然低く不十分であると考える。合成法を変更を含め検討する予定である。
3.放射線分解反応の基礎的検討:比放射能が十分に高くなく、放射線分解反応を系統的に研究できる体制を整えることができなかった。マイクロリアクターの観点から合成反応を新たに開発して、分解現象を観測して基礎的検討を加えたい。

研究成果

• [文献書誌] R.Iwata, C.Pascali, A.Bogni, S.Furumoto, K.Terasaki, K.Yanai: "[^<18>F] Fluoromethyl triflate, a novel and reactive [^<18>F]fluoromethylating agent. Preparation and application to the on-column preparation of [^<18>F]fluorocholine"Applied Radiation Isotopes. 57. 347-352 (2002)
• [文献書誌] S.Furumoto, R.Iwata, T.Ido.: "Design and synthesis of fluorine-18 labeled matrix metalloproteinase inhibitors for cancer imaging"J. Labeled. Compounds and Radiopharmaceuticals. 45. 975-986 (2002)
• [文献書誌] S.Furumoto, K.Takashima, K.Kubota, T.Ido, R.Iwata, H.Fukuda: "Tumor detection using ^<18>F-labeled matrix metalloproteinase-2 inhibitor"Nuclear Medicine and Biology. (印刷中). (2003)
• [文献書誌] R.Iwata, S.Furumoto, C.Pascali, A.Bogni, K.Ishiwata: "Radiosynthesis of O-[^<11>C]methyl-L-tyrosine and O-[^<18>F]fluoromethyl-L-tyrosine as potential PET tracers for imaging amino acid transport"J. Labeled. Compounds and Radiopharmaceuticals. 46(印刷中). (2003)