研究課題/領域番号 |
13470178
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
武田 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10197311)
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研究分担者 |
赤塚 孝雄 山形大学, 工学部, 教授 (80091875)
板井 悠二 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30010268)
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キーワード | 蛍光X線 / CT / 生体画像 / 微量元素 / 蛍光検出技術 |
研究概要 |
加速器から発生する放射光の特長(高輝度、波長可変性、直線偏向性)を最大限に利用し、生きた生体内の微量元素の検出が可能な蛍光X線CTを作製するための基礎的な検討を行う。 我々は、核医学検査(SPECT)で使用する放射性ヨウ素(I-123)のかわりに、非放射線ヨウ素(I-127)を標識した化合物を動物に投与し、臓器内の化合物の分布の画像化に成功した。これは、生きた生体に非放射線ヨウ素(I-127)化合物を投与し核医学検査(SPECT)と同様な画像化ができる可能性を示している。これまでの蛍光X線CTの実験的研究では、生体組織を撮影した時、被射体から発生する蛍光X線及び特に散乱線量が非常に多く、検出器として利用してきた半導体検出器(dead timeが高すぎて)が使用できないという問題が生じた。 本研究では、この問題を解決する可能性を有する1)蛍光X線のみを捉えるX線ミラーを設置しデータを収集、2)櫛形の特殊なコリメータを用い散乱線を極端に低下させデータを収集する2つの方法を開発し、生きた生体の撮影が蛍光X線CTで可能か実験を通して確認する事を目指している。 平成14年度は、計測システム部位の構造を簡略化し簡単に目的の蛍光X線を得るため、X線フィルター法に関する基礎的な実験を行った。X線フィルター法は、ヨウ素から発生するKα蛍光X線を透過し、計測において大きなノイズ要素となるKα蛍光X線上方のエネルギー・スペクトルを有するコンプトン散乱等を除去する事を可能とする。フィルター物質のK吸収端を、発生するKα蛍光X線の直上に持ってこられる物質を選択した。しかし被射体から発生している大量のコンプトン散乱によりフィルター物質自身が励起されフィルター物質のKα蛍光X線が目的とするヨウ素の蛍光X線に重複してしまい、本法は散乱除去法として有効で無いことが明らかとなった。そのため大きな被射体の周辺から発生する散乱線が低濃度のヨウ素の検出を妨げる櫛状の小さなコリメータを用いる手法が、最も簡便な計測法である事が明らかとなった。蛍光X線のみを捕えるX線ラウエ・ミラー装置は、ミラーの作製と制御が非常に難しいが、うまく制御されれば計測上非常に利点が大きいと考えられた。
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