研究概要 |
アイソトープ標識技術を応用して,固形癌の内部照射ターゲティング療法の臨床応用を目標とする.アイソトープで標識されたモノクローナル抗体を体内に投与すれば,がん抗原発現部位のがん組織に特異的に集積する.造血器悪性腫瘍をターゲットとした研究では,放射線感受性や腫瘍組織へのアクセスなど固形癌よりも有利な点が多いため成績が良い.一方,固形癌を対象とした研究では、,進行期で腫瘍体積も大きな症例が多く,放射免疫療法にとって原理的に不利である.本研究では,治療用放射性アイソトープ標識方法を最適化し,最終的には固形癌に対する放射免疫療法の治療効果を臨床的に評価する. 本年度は,抗腺癌モノクローナル抗体A7と治療用β線放出アイソトープのI-131および体内動態観察用のIn-lllでの標識方法をin vitroで検討した.I-131標識モノクローナル抗体A7およびIn-111標識体もそれぞれ37MBq/mg以上の比放射能での標識が可能であった.また,標識後の免疫活性をLindomoアッセイで検討したところ,それぞれの免疫活性分画(immunoreactive fraction)は,次に,I-131標識抗体が74%であり,In-111標識抗体は83%と免疫活性は標識後も十分保持された.ヒト大腸癌LS180移植ヌードマウスモデルに投与して,体内動態,抗腫瘍効果,毒性の評価に着手した. また,臨床応用を目指すためには,マウスに使用できるレベルの無菌化では不十分であり,標識操作の全工程の無菌調整化とpyrogen freeの調整法を検討する.そのために,基礎的に試薬,緩衝液,使用器材などの無菌性とpyrogenの混入の有無の検討を開始した.
|