研究課題/領域番号 |
13470181
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研究機関 | 福井大学(医学部) |
研究代表者 |
松本 英樹 福井大学, 医学部, 助教授 (40142377)
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研究分担者 |
畑下 昌範 若狭湾エネルギー研究センター, 物性バイオグループ, 主査 (40359237)
金 朝暉 福井大学, 医学部, 助手 (70324150)
林 幸子 福井大学, 医学部, 助手 (00218570)
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キーワード | p53 / ヒト非小細胞肺癌 / 癌放射線治療 / 癌温熱療法 / 狭心症治療薬 / apoptopsis |
研究概要 |
【目的】がん細胞が放射線抵抗性を示す要因として照射時の放射線による活性酸素種(Reactive Oxygen Species、以下ROSと省略)等のラジカル産生量の低下がある。放射線によるがん細胞の致死効果の多くはこれらのラジカルによるDNA損傷に起因すると考えられている。ROSと同様にDNA損傷能を有し、且つ血管拡張作用および血管新生促進作用を有する活性窒素種(Reactive Nitrogen Species、以下RNSと省略)に着目し、心臓疾患(狭心症・高血圧症等)の治療薬として臨床応用されているRNS発生剤の放射線増感剤としての適応の可能性を検討することを目的とした。 【材料と方法】 1.細胞:ヒトp53欠損肺癌H1299細胞に、正常型p53発現ベクターを導入したH1299/wtp53細胞、変異型p53発現ベクターを導入したH1299/mp53細胞および対照としてベクターのみを導入したH1299/neo細胞のヌードマウス移植腫瘍を用いた。 2.RNS発生剤:Isosorbide Dinitrate(ISDN)を用いた。ISDNは既に狭心症治療薬として臨床応用されている薬剤である。 3.放射線増感効果の解析:ISDN単独処理、X-rays(10Gy)単独照射およびISDN/X-rays(10Gy)併用処理後の腫瘍増殖曲線よりISDNの放射線増感効果について検討した。 4.温熱感受性増感の解析:ISDN単独処理、温熱(43℃,30min)およびISDN/温熱(43℃,30min)併用処理後の腫瘍増殖曲線よりISDNの温熱増感効果について検討した。 【結果】 1.ISDNは、ヌードマウス移植腫瘍においても顕著な放射線感受性増感効果を示した。 2.ISDNは、ヌ-ドマウス移植腫瘍においても顕著な温熱感受性増感効果を示した。 3.ヒトp53欠損肺癌H1299細胞に、正常型p53発現ベクターを導入したH1299/wtp53細胞、変異型p53発現ベクターを導入したH1299/mp53細胞および対照としてベクターのみを導入したH1299/neo細胞を用いることにより、これらの増感効果は、ヌードマウス移植腫瘍においても癌抑制遺伝子p53非依存的に誘発されることが証明された。 4.これらのp53非依存的放射線および温熱増感効果の一因として、p53非依存的なアポトーシスの促進であることが示唆された。
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