研究課題/領域番号 |
13470187
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
續 輝久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40155429)
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研究分担者 |
藏 忍 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90037391)
中村 和正 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20284507)
佐々木 茂貴 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (10170672)
中津 可道 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00207820)
森田 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70150349)
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キーワード | DNA損傷 / DNA修復系 / 細胞死 / 合成オリゴマー / DNA組換え / アンチジーン / 放射線感受性 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
Rad51遺伝子は、放射線やアルキル化剤等によるDNA二重鎖切断の組換え修復に関与している。これまでの標的遺伝子組換え実験の結果、Rad51遺伝子が細胞の増殖に必須であることを明らかにした。この研究成果に立脚して、マウスの培養細胞系において、Rad51遺伝子のアンチセンスDNA導入によって、放射線感受性が増大することが明らかとなっている。従って、Rad51遺伝子のsiRNAをがん細胞に導入して、その遺伝子発現をRNAi(RNA interference)の機構により抑制することで、がん細胞の放射線に対する感受性を高め、低線量でのがん治療あるいは耐性がんの克服が可能と考えられる。 (1)マウステラトカルシノーマF9細胞に、Rad51遺伝子の配列を含むsiRNAをトランスフェクションして1日後にX線を照射し、細胞の放射線感受性を検討した。MTTアッセイにより、細胞毒性を調べた結果、Rad51-siRNAを導入した場合、X線に対する感受性が増加した。このような増感効果は2Gyからみられた。さらに、DNAに結合した後、DNAを切断することが知られている抗癌剤、シスプラチンについてもその感受性が増加することが明らかとなった。MTTのOD値を50%に減少させるシスプラチン濃度は、0.4μMから、0.4μMと1/2に減少した。X線やDNA二重鎖切断する抗癌剤治療においてRad51遺伝子のRNAiによる抑制は増感効果をもたらすことが明らかになった。さらに、Rad51遺伝子の発現をRNAiで抑制したF9細胞にX線とシスプラチンの両方の処理を行った場合、相加的であるが、有効であることがわかった。このように、RNAi法は、培養している癌細胞には、放射線、抗癌剤ともに有効であった。今後、個体レベルでの実験について検討する必要がある (2)3本鎖形成オリゴヌクレオチドに反応性核酸を組み込み、標的配列との架橋反応を行うと同時に架橋部分での変異誘起能について調べた。その結果,反応性核酸は反応点特異的に点変異を誘起し、特にアデノシンとの反応点では細胞内での複製にともない、グアノシンに変異させることを明らかにした。
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