研究概要 |
4.7Tの超高磁場MRI装置で使用可能な2種類の多核種同調信号検出器を作製した。第1は24個の送信線エレメントを有するTEM型信号検出器で、各8エレメントずつを^1H,^<31>P,^<13>Cに同調した。3周波数間の分離は26dB以上と良好であるが、単核種同調検出器に比べ約2倍のラジオ波磁場強度を要するという問題点があった。これについては原因を検討中である。第2はTEM型の^1H信号検出器に口径8cmのデュアルループクォドラチャ表面検出器を組み合わせるものである。^1H,^<31>P間には重大な相互作用はみられず、必要とされるラジオ波磁場強度も小さく押さえられた。第2の検出器を用いて、同一の局在化領域から^1H,^<31>Pの領域選択スペクトルを同時に測定するための測定シークエンスの開発を行った^1H測定には昨年動物用測定に用いたStimulated Echo Acquisition Mode(STEAM)法を、^<31>P測定にはISIS法を採用した。最も簡単な同時測定法は測定用コンピュータの個別のワークスペースに両法を併置してワークスペースを飛び移りながら交互測定を行うものであるが、この方法ではパルス繰り返しを10秒以下に短縮することは困難であった。このため、両法を融合させた新しい測定シークエンスを作製した。本法を用いて、まず50mMグルタミン酸と100mM ATPを含む模擬試料で1回のパルス繰り返し時間内に^1H、^<31>Pスペクトルを測定できることを確認した。次いでヒト脳を対象とする測定を行った。後頭葉に設定した3x3x3cmの領域からパルス繰り返し時間5秒、10分の測定時間で、グルタミン酸、イノシトール等を観測できる^1Hスペクトル、ATP、クレアチンリン酸、無機リン、ホスホモノエステル等のピークを示す^<31>Pスペクトルを良好なS/N比で得ることができた。
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