(1)ヒト脳組織切片の摘出と運搬方法の検討 ヒト脳組織を摘出場所(東京医科歯科大学医学部)から当研究所まで運搬する為の装置を開発した。運搬容器には携帯用クーラーボックスを当て、携帯用酸素ボンベから酸素を供給し、切片のATPレベルの回復のため34度preincubateしながら運搬するシステムとした。運搬容器は34±0.5度で制御でき、位置による温度むらも認められなかった。切片の細胞の生存率などを[^<18>F]FDGを用いたダイナミックオートラジオグラフィで評価した結果、実験に利用できることが示された。 (2)リアルタイムで画像化、観察する装置の開発 アロカ(株)が開発中のプラスチックシンチレータ/CCDカメラを利用したイメージング技術の提供を受け、暗箱の作成と放射線によってプラスチックシンチレータ内に発生した光をCCDカメラまで送達する部分の作成を試みた。暗箱は温度制御ができ、外部から酸素ガスを導くことができる。β線のプラスチックシンチレータによる発光を効率的に取る込む為、高原子番号のプラスチックシンチレータを採用するなどした結果、計数効率の上昇を達成した。 (3)ヒト生切片を対象とした検討は平成14年7月に第1例目を実施し、これまで7例のデータが蓄積した。その内1例は、正常な脳組織と思われる組織で、他のてんかん病巣の糖代謝とは明らかに異なったパターンを示した。事前に実施したFDG-PET、MRIに検討結果が加わり、個体、組織レペルから細胞一個までが同じ土俵で、同じ材料で比較することができる体制が整った。
|