研究課題/領域番号 |
13470196
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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研究分担者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ蛋白 / リン酸化 / プレセニリン / 酸化ストレス / アポトーシス / リボトキシックストレス / 小胞体ストレス |
研究概要 |
変異プレセニリンによって誘導されるER(小胞体)ストレス脆弱性に関連して、そのERにも局在するリボソームへのストレス(リボトキシックストレス)が、タウ蛋白リン酸化と細胞死の両方に関与するメカニズムである可能性を我々は見出していた。そこで、タウ蛋白リン酸化と細胞死およびプレセニリン変異に関して検討を行った。 SY5Y細胞の培地に色素(2μg/ml rose bengal)を添加し、さらに光(100W、10cm)を照射し、singlet oxygenを介する核酸への酸化ストレスを与えた。核酸(ribosomal RNA)への酸化を抗8-ヒドロキシグアノシン抗体(1F7抗体)を用いてウエスタンブロットの要領で28Sおよび18Sのribosomal RNAの酸化を検討すると、ribosomal RNAの酸化は亢進していた。そして、細胞内のタウ蛋白のリン酸化レベル(Ser396/404部位)は亢進し、p38 MAPキナーゼおよびSAPKのキナーゼ活性も亢進していた。さらに、SY5Y神経芽細胞腫にプレセニリン(wild type、L250S変異、ΔExon9)を強制発現した細胞株を用いて核酸の酸化よるリボトキシックストレス効果を検討した。プレセニリン(wild type、L250S変異、ΔExon9)を強制発現した細胞株で上述の刺激を与えると、wild typeのものに比べてL250S変異およびΔExon9の細胞においては、p38およびSAPKのリン酸化が減弱しており、タウ蛋白リン酸化の亢進も認められなかった。しかし、細胞死に関しては、変異プレセニリン導入細胞の方が細胞死率が高かった。このことは、プレセニリン変異がリボソーム(の局在するER)からp38およびSAPKへの細胞内シグナル伝達経路に大きく関与している可能性を示唆していた。
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