研究概要 |
ヒトのCD34^+造血幹細胞を,FACS sorterを用いて,1コ1コを96 wellにsortし,1コ1コのCD34^+造血幹細胞のWT1遺伝子の発現をsingle-cell PCR法を用いて解析したところ,1,634コのCD34^+造血幹細胞のうち19コがWT1を発現していた。よってCD34^+造血幹細胞の1.2%がWT1を発現していることが明らかになった。さらに,single-cell PCRを用いて分化マーカー遺伝子やcell cycle関連遺伝子の発現を解析したところ,MPOを発現し,Myeloid系にコミットしたと考えられるもの,β-globinを発現し,erythroid系にコミットしたと考えられるもの,lineageマーカー遺伝子を全く発現せず,どのlineageにもまだコミットしていないと考えられるものがあり,WT1は,committed及びuncomited progenitor細胞の両者に発現することが明らかになった。また。WT1の発現は,resting cellとproliferating cellの両者でみられた。次に,CD34^+造血幹細胞1コのWT1発現量と白血病細胞1コのWT1発現量を定量し比較したところ,発現量に差がなかった。以上のことは,WT1発現CD34^+造血幹細胞は,白血病細胞のNormal counterpartsである可能性を示唆し,WT1発現のdown-regulationの破たんが,造血幹細胞の持続的な増殖をひきおこし,最終的には白血病に進展するという白血病発症モデルが考えられた。
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