カルシウム-カルシニューリン系と甲状腺ホルモン作用のクロストローク

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13470217
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
• 研究分担者: 神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871) ; 村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308) ; 小松 由起夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
• キーワード: ZAKI-4 / 甲状腺ホルモン / カルシニューリン / 中枢神経系 / 心筋肥大 / サイクロスポリンA

研究概要

1.ZAKI-4遺伝子の構造解析:我々は、昨年度ヒトZAKI-4遺伝子の全構造を明らかにした。本年度は、マウスZAKI-4遺伝子がほぼヒトの遺伝子と同様の構造であることを明らかにすると共に、ノックアウトマウスの作成に着手した。
2.ヒト皮膚線維芽細胞を用いた甲状腺ホルモンによるZAKI-4アイソフォームの発現調節:昨年の研究により明らかにした、アイソフォームαののが甲状腺ホルモンによる調節が、甲状腺ホルモン受容体(TR)を介していることを、ドミナントネガティブTR、恒常的転写活性化能を有するTRをアデノウィルスベクターを用いて明らかにした。
3.ZAKI-4遺伝子産物の機能解析:ヒトZAKI-4α、βを発現する組み換えプラスミドを構築し、in vitroで合成した各々のアイソフォームが両者に共通するカルボキシル端を介してカルシニューリンと会合することを明らかにした。更に、IL-2レポータージーンアッセイを用い、両アイソフォームがカルシニューリン活性を抑制することを明らかにした。
4.培養心筋細胞を用いた心筋肥大モデルにおけるZAKI-4遺伝子産物による肥大抑制効果の解明:ラット心筋初代培養系を用い、フェニレフリン、カルシウムイオノフォアなどの肥大刺激を加え、心筋肥大に伴って増加するANP(atirial natriuretic polypeptide)やβ-MHC(myosin heavy chain)遺伝子の発現が、α、β何れのアイソフォーの発現により抑制されるかをレポータージーンアッセイを用いて検討した。その結果、α、β何れのアイソフォームによっても心筋肥大が抑制されることが明らかにされた。
5.Yeast two hybrid systemを用ZAKI-4遺伝子遺伝子産物と会合する蛋白の遺伝子スクリーニング:ZAKI-4遺伝子産物αアイソフォームに会合する蛋白としてNa-K-ATPaseのβ subunitが同定され、今後この生理学的意義を検討したい。

研究成果

• [文献書誌] Cao X, et al., Seo H: "Novel human ZAKI-4 isoforms : Hormonal and tissue-specific regulation and function as calcineurin inhibitors"Biochemical Journal. 367. 459-466 (2002)
• [文献書誌] Takeuchi Y.et al., Seo H, et al.: "Steroid receptor coactivator-1 deficiency causes variable alterations in the modulation of T(3)-regulated transcription of genes in vivo"Endocrinology. 143(4). 1346-1352 (2002)
• [文献書誌] Cao X, Kambe F, Ohmori S, Seo H: "Oxidoreductive modification of two cysteine residues in paired domain by Ref-1 regulators DNA-binding activity of Pax-8"biochemical Biophysical Research Communications. 297. 288-293 (2002)
• [文献書誌] Rogatheva M, et al., Seo H, et al.: "Type 1 iodothyronine deiodinase in the house musk shrew (Suncus murinus, Insectivora : Soricidae) : cloning and characterization of cDNA, unique tissue distribution and regulation by T3"General and Comparative Endocrinology. 127. 48-58 (2002)
• [文献書誌] Shibata A, et al., Seo H: "Inhibition of NF-kappaB activity decreases the VEGF mRNA expression in MDA-MB-231 breast cancer cells"Breast Cancer Research & Treatment. 73(3). 237-243 (2002)
• [文献書誌] Sakano S, et al., Seo H: "Inhibitory effect of bFGF on endochondral heterotopic ossification"Biochemical Biophysical Research Communications. 293. 680-685 (2002)