研究概要 |
1)ヒト心臓cDNA libraryより、yeast two-hybrid systemを用いて、ERα-interacting proteinのスクリーニングを行なった。その結果、エストロゲン存在下にERαとの結合の増強を認める蛋白としてLIM-Only-domain-containing factor FHL2、SUMO化酵素Ubc9、PIAS1を得た。FHL2は心臓に特異的に高発現を認め、アンドロゲン受容体、転写因子AP-1,CREB, CREM等の転写共役因子(coactivator)として機能することが報告されているが、ERαに関しては未報告である。我々の検討で、FHL2はエストロゲン依存性に結合を認めたが、ERE-E1b-luciferaseレポーターを用いたtransient transfection assayにおいては、特にERを介した転写活性に影響を及ぼさなかった。しかし、FHL2は心筋細胞に特異的発現を認めることから、心肥大の病態との関連が強く示唆された。 2)我々のグループでは核内受容体COUP-TFIと特異的な相互作用を有するSUMO化酵素のUbc9およびPIAS1の同定に成功したが、今回ERαの結合蛋白としても同定された。それらのERαによる転写に与える影響を検討した結果、これらの蛋白はERαの転写共役因子(coactivator)としても機能することが明らかとなった。また、最近の報告(EMBO J.2002,21(13):3443-53)にてCOUP-TFIはERαのSer118のリン酸化を介してERαの転写活性化に関与するとの報告があり、Ubc9-PIAS1-COUP-TFI複合体がERα転写を活性化する可能性が示唆された。
|