研究課題/領域番号 |
13470221
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 信博 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (40200729)
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研究分担者 |
豊島 秀男 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20197966)
島野 仁 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20251241)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 動脈硬化 / 細胞周期 / CDK阻害因子 / 細胞分化 |
研究概要 |
日本社会におけるライフスタイルの変化に伴い、糖尿病、高脂血症、高血圧などに伴う血管障害に起因した疾患が急速に増加しており、動脈硬化の発症メカニズムの解明は重要な研究課題となっている。動脈硬化巣の形成には血管内皮細胞および平滑筋細胞の病的な増殖、アポトーシスなどが大きな役割を果たすとされ、それらのシグナル伝達と細胞周期の制御がどの様になっているかの解明は予防法を開発する上で重要である。我々はオリジナルな研究として細胞周期のブレーキ、CDK阻害因子が細胞の分化過程における細胞増殖の制御機構に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。こうしたなか、培養血管内皮細胞、脂肪細胞を用いて増殖とアポトーシスにおけるCDK阻害因子の関与について研究を行った。その結果、TNF-αの刺激により血管内皮細胞はアポトーシスを来す際にCDK阻害因子であるp21、p27が異なる役割を持つ可能性を明らかにした。即ち、TNF-α刺激の際、インスリン存在下ではp27の発現の増強が見られるのに対して、インスリン非存在下ではp27の発現が低下すると共に、p21の増加が見られた。血管内皮細胞のアポトーシスはインスリン非存在下でより高率に見られるので、これらの結果から、同じCDK阻害因子でもp27の発現はアポトーシスに対して抑制的な役割を持つ一方で、p21はこれを進める役割を持つ可能性が示唆される。血管内皮細胞のアポトーシスは動脈硬化症の発症初期において重要であり、CDK阻害因子はその予防に応用できる可能性がある。動脈硬化症は局所に存在するマクロファージ、リンパ球、血管内皮細胞、平滑筋細胞などが発現する種々の増殖因子、サイトカイン、細胞接着因子や細胞外マトリクスなどの刺激により悪循環に陥いると考えられるので、さらにこれらが血管内皮細胞のアポトーシスに及ぼす影響について解明を進め、動脈硬化症の抑制法の開発を目指している。
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