研究分担者 |
江藤 一弘 東京大学, 医学部附属病院, 医員
寺内 康夫 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40359609)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30185889)
鏑木 康志 東京大学, 医学部附属病院, 医員
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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研究概要 |
我々は、相同組換え法を用いて、様々なインスリン抵抗性及び糖尿病発症のモデルマウスとなる遺伝子欠損マウスを作製してきた。現在までに、インスリン作用の情報伝達分子としては、インスリン受容体基質1(IRS-1)(Tamemoto, et al.:Nature 372:182-186,1994)、PI3キナーゼp85欠損マウス(Terauchi, et al.:Nature Genetics 21:230-235,1999)、また、高脂肪食下にも肥満やインスリン抵抗性を来しにくいPPARγ欠損マウス(Kubota, et al.:Mol.Cell 4:567-609,1999)を作製解析してきた。この結果、(1)糖尿病発症におけるインスリン分泌低下やインスリン抵抗性の役割及び諸臓器(肝臓・骨格筋・脂肪細胞や膵β細胞)の役割を解明したり、(2)欠損マウスで欠損したパスウェイを代償する分子を見出すことが可能となった。その一例として、我々はIRS-1欠損マウスを作製し、耐糖能障害を伴わず高インスリン血症で代償されることを明らかにし(Tamemoto, et al.:Nature 372:182-186,1994)インスリン抵抗性の原因が骨格筋での情報伝達異常にあることを証明した(Yamauchi, et al.:Mol.Cell.Biol. 16:3074-3084,1996)。さらに、インスリン分泌低下型のグルコキナーゼ欠損マウスと掛け合わせることにより糖尿病の発症には、インスリン抵抗性とインスリン分泌低下の両者が必要であることを明らかにした(Terauchi, et al.:J.Clin.Invest. 99:861-866,1997)。また、IRS-1欠損マウスは、骨格筋でのインスリン抵抗性を呈し、高中性脂肪血症・低HDL-Chol血症・高血圧・血管内皮細胞障害を呈する「シンドロームX(インスリン抵抗性症候群)」のモデルであることを明らかにした(Abe, et al.:J.Clin.Invest. 101:1784-1788,1998)。また、欠損したIRS-1を代償する新たな基質としてIRS-2を見出し(Tobe, et al.:J.Biol.Chem. 270:5698-5701,1995)、このIRS-2の欠損マウスを作製し糖尿病を発症することを明らかにしている(Kubota, et al.:Diabetes 49:1880-1889,2000)。また、我々はIRS-2欠損マウスが肥満と脂肪肝をきたし、レプチン抵抗性を呈することを明らかにした(Tobe, et al.:J.Biol.Chem. 276:38337-38340,2001)。
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