研究課題
基盤研究(B)
肝不全に対する肝補助療法として、肝機能の中心を担う部分に生物学的素材を用いたバイオ人工肝臓(bioartificial liver : BAL)の開発が望まれている。機能を維持させた状態での初代ヒト肝細胞の長期間培養は現在の細胞培養技術を駆使しても困難であり、深刻なドナー臓器の不足から細胞の供給源であるヒトの臓器・組織の利用には限界がある。そこで、我々は、正常ヒト肝細胞にウイルス由来の癌遺伝子であるsimian virus 40 large T抗原(SV40T)を導入することで、取り扱いの容易な分化機能を有する細胞株を樹立し、BALのソースとして利用することを考えた。本研究では、1)細胞周期に重要なCdk(cyclin dependent kinase) inhibitorであるp21による不死化肝細胞の分化機能への増強効果を検討した。また、2)肝細胞と肝非実質細胞とのcell-to-cell interactionが需要との認識からヒト肝内皮細胞株の作成に取り組んだ。3)我々が開発途上のバイオ人工肝臓モジュールの安全性と有効性をブタ肝不全モデルで評価する必要がある。新鮮分離ブタ肝細胞を充填したバイオ人工肝臓の成績が、我々が開発途上の不死化ヒト肝細胞を用いたバイオ人工肝臓のpositive control、いわゆるスタンダードとなるため、効果的なブタ肝細胞の分離手技を確立した。ブタ肝細胞の効果的な分離手技の確立を目指した。(1)NKNT-3細胞にp21を強制発現させることで肝特異的機能が増強した。(2)SV40T遺伝子を発現するレトロウイルスベクターSSR#69を使用して取り扱いの容易なヒト肝内皮細胞HNNT-2を樹立した。(3)外科的切除肝からディスパーゼとコラゲナーゼを使用した4-step法による機能的なブタ肝細胞の分離手技を開発した。
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