研究課題/領域番号 |
13470242
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
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研究分担者 |
廣田 昌彦 熊本大学, 医学部・附属病院, 医師 (80284769)
江上 寛 熊本大学, 医学部, 助教授 (00264284)
守 且孝 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10040213)
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キーワード | 急性膵炎 / サイトカイン / サイトカイン拮抗物質 / CARS / 敗血症 / 感染 / 臓器障害 / 好中球 |
研究概要 |
炎症病態の後期相においては、サイトカイン拮抗物質の産生が誘導されて、新たなサイトカイン産生が抑制されることが知られている。この病態は、CARS(compensatory anti-inflammatory response syndrome)と呼ばれているが、CARSでは、サイトカイン反応の抑制に伴って易感染状態が惹起される。 急性膵炎は代表的な炎症性臓器破壊性疾患の一つであるが、その死因は、入院後1ヶ月以内では多臓器不全が、入院後2ヶ月以降では敗血症をはじめとした感染性合併症が多くを占める。すなわち、急性膵炎の後期には感染病態が、その重症化機構に大きく関与しているといえる。本研究では、急性膵炎の後期重症化の背景にはCARSに伴う易感染性があるのではないか、という観点から病態をとらえて解析をすすめている。 これまでの研究で、(1)急性膵炎に伴う組織破壊は、サイトカインの産生を誘導するだけではなく、抗炎症性サイトカイン、レセプターアンタゴニスト、可溶性レセプター、などのサイトカイン拮抗物質の産生をも誘導すること、(2)サイトカイン拮抗物質が大量に産生された後期相においては、新たなサイトカインの産生刺激に対して、サイトカインの誘導が阻止されていること、(3)一方、感染の結果血中に流入したエンドトキシンは、遠隔臓器に集積した好中球を刺激し、好中球エラスターゼなどの臓器障害性メディエータを放出させ、新たなサイトカイン反応を介さずに臓器障害を惹起すること、などを明らかにした。
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