研究課題/領域番号 |
13470244
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
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研究分担者 |
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70169770)
山内 徳子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306732)
大塚 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40306717)
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キーワード | 人工酸素運搬体 / 腫瘍内酸素分圧 / 腫瘍循環 / 動脈内注入 / 補助科学療法 |
研究概要 |
担癌ラットにおける腫瘍血流の測定はDonryuRatにおけるSato lung Cancer(SLC)、腹水肝癌(LY-80)を皮下に移植するモデルを用いて行った。大腿筋膜下に移植した10×10^6個のLY-80を7日、14日21日後にペントバルビタール麻酔下に大動脈起始部にカテーテルを挿入し、カラードマイクロスライドフェア法により測定した。その結果、SLCでは14日後の腫瘍内血流は7日後の10%、LY-80では14日後の腫瘍血流は7日後の腫瘍血流の50%であることが明らかとなった。また、シリコンラバーを注入した腫瘍を切り出し、腫瘍内の微小循環を検討したところ、SLC移植群では、中心部壊死が強く、抗腫瘍療法を行ったときの評価が困難と考えられた。一方LY-80移植群では中心部壊死は少なく、血管構築も均一であり、抗がん剤の効果判定も容易であると考えられたので、以後LY-80を用いて実験を行った。抗がん剤投与時期は腫瘍移植後7日後に行うことがよいと考えた。 人工酸素運搬体の投与による腫瘍組織内酸素分圧の変化については、静脈内投与および動脈内投与が検討された。静脈内投与では、腫瘍内酸素分圧の変化は大きくなく、抗がん剤あるいは放射線との併用効果が少ない可能性が示唆された。腫瘍を栄養する大腿動脈近傍で人工酸素運搬体(ヘモグロビン内包型リポソーム、およびアルブミンヘム)を動脈内注入することにより、腫瘍内酸素分圧が上昇することが明らかとなった。しかし、この腫瘍組織内酸素分圧の上昇は一過性で、動注を中断すると速やかに腫瘍内酸素分圧は低下した。この結果より、動注と同時に補助療法(化学療法、放射線照射)を行う必要があると考えられた。
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