研究課題/領域番号 |
13470248
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
|
研究分担者 |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
|
キーワード | CD40Ig / INF-γ / IL-2 / CD8 / CD4 / T細胞Killer活性 |
研究概要 |
様々な動物移植モデルにおいて、CD40-CD40Lの副刺激を遮断する分子が移植片の長期生着延長効果を示すことが報告されている。我々もラット心移植モデルにおいてCD40Ig遺伝子組込みアデノウィルスベクター(AdCD40Ig)を用いた遺伝子治療を行うことにより移植心の長期生着を見ている。しかし作用メカニズムに関しては未だ解明には至っていない。我々はラット心移植モデルにおいて、1.AdCD40Igによる遺伝子治療を施した心移植ラットにも未治療ラットと同様のT細胞浸潤が認められる。2.治療効果にはCmaxで>1mg/mLと非常に高い血中濃度が必要とされることを見出し、高濃度のCD40Igにはeffector phaseで拒絶を抑制するメカニズムが存在するとの仮説のもと試験を行った。LEWをresponder、ACIをstimulatorとしたMLRにCD40Igを反応惹起時に添加し、5日後の増殖とcytokine量を測定した。高濃度で加えたCD40Igは増殖およびIFNγの産生には影響を与えず、IL-2の産生のみ濃度依存的に亢進させた。ResponderをCD4とCD8 T細胞に分けて行ったMLRから、IL-2産生亢進に関してCD40Igの標的細胞はCD4 T細胞であると考えられた。また、高濃度CD40Ig(500μg/mL)を添加したMLRではIL-2依存的にCD25陽性CD4 T細胞(Treg)が増加していた。CD40Igにより誘導されたTregはin vitroでMLRによる増殖には影響を与えなかったが、CTL活性を添加したTreg数依存的に抑制した。 これらより、CD40Igは高濃度でCD4 T細胞にIL-2の産生を亢進させ、regulatory活性のあるT細胞を誘導する。このT細胞がCD8 T細胞のkiller活性を抑制することにより、Allograftの生着延長が得られる可能性が示唆された。
|