研究課題/領域番号 |
13470253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木内 哲也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303820)
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研究分担者 |
貝原 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70324647)
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40293865)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 生体肝移植 / 低重量肝 / 門脈圧 / 門脈血流量 / 肝鬱血 / 肝再生 / 腹水 / バクテリアルトランスロケーション |
研究概要 |
生体肝の部分を用いる肝移植は本邦において急速に発達し、これまで国内で治療手段のなかった末期肝不全或いは肝の非代償性機能欠損を持つ患者の治療に貢献している。しかし低重量肝移植後の遷延する門脈圧亢進、肝再生不全や難治性腹水については、欧米の移植施設を含めて論争が行われており、非生理的な移植肝の解剖に起因する肝内血流の異常や門脈血行動態の関与が推測されているが、明確な結論がなく、またその治療法についても確立されていない。 当施設においては低重量肝および境界重量肝を用いた移植を数多く手がけている。本研究では、こうした問題の病態機序を明らかにし、有効かつ安全な治療法を確立することを検討した。 結果:成人生体肝移植症例において、移植手術時にレシピエント門脈系末梢(下腸間膜静脈)に圧測定カニューレを挿入し、術中・術後の門脈圧を持続的に測定した。低重量肝では、至適重量肝と比較し、難治性腹水や腸管蠕動不全を認めた。また、肝細胞障害も強く現れ、肝再生・減黄・蛋白合成の遅れも顕著に認められ、さらには小腸粘膜の傷害によると思われるバクテリアルトランスロケーションも多く認められた。その原因として、低重量肝における術中・術後の遷延する門脈圧亢進が考えられた。また、門脈圧亢進により腹水の産生が認められた。そのような移植肝に対する至適門脈圧を維持する目的のため、術中脾動脈結紮により門脈圧の減圧を試みた結果、生存率や術後肝機能の向上に寄与する事がわかった。また術後、核磁気共鳴画像(MRI)を用い、移植肝における解剖学的な肝鬱血を測定し、グラフト肝鬱血の約80%は経時的に解消することが証明できた。 まとめ:低重量肝が原因の術後門脈圧亢進および至適重量肝であれ何らかの原因による術後門脈圧亢進は、さまざまな症状を合併した。この門脈圧亢進のコントールとして脾動脈結紮により生存率の向上、さらに術後肝機能の回復に大きく貢献できる可能性が示された。
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