研究課題/領域番号 |
13470256
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹山 宜典 近畿大学, 医学部, 助教授 (70263374)
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研究分担者 |
土師 誠二 近畿大学, 医学部, 講師 (80288935)
上田 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (80346262)
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
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キーワード | 重症急性膵炎 / 免疫抑制 / 感染 / bacterial translocation / エンドトキシン / アポトーシス / マクロファージ |
研究概要 |
腸管粘膜障害機構の解析 重症急性膵炎において腸管からのbacterial translocation (BT)は敗血症や膵、膵周囲感染を引き起こし、後期死亡の最大の原因となっていると考えられる。しかし、腸管内からどのようにして細菌が粘膜バリヤーを通過するのか未だ不明な点が多い。そこで、本年度は、昨年度に引き続き、重症急性膵炎に伴う腸管障害機構を解析した。ラットに重症急性膵炎を作成後12時間後には、腸間膜リンパ節に細菌感染が証明されエンドトキシン血症が惹起されるが、それに先立って腸管壁の菲薄化と腸管の透過性の亢進も観察された。その分子機構を解析したところ、腸管粘膜上皮細胞の著明なアポトーシスの亢進が見られた。そこで、アポトーシス誘導因子であるカスパーゼに対する阻害剤を投与すると、腸管壁の透過性亢進が阻止され、エンドトキシン血症も改善した。以上の結果から、重症急性膵炎時には、腸粘膜上皮細胞のアポトーシスが誘導・促進され、BTやエンドトキシン血症の一因となっていることが判明した。さらに、重症急性膵炎時の腸管上皮細胞におけるカスパーゼ誘導をこのラット重症急性膵炎で解析し、カスパーゼ3と9が膵炎発症4時間後には、回腸粘膜上皮細胞に発現することを確認した。 免疫抑制機構の解析 前年度までは、リンパ球系を中心とした免疫抑制機構を解析してきたが、今年度は、単球・マクロファージ系における変化を解析した。ラット急性膵炎モデルの肺胞マクロファージにおけるエンドトキシンに対する反応性を解析したところ、軽症膵炎モデルでは対照に比較して、エンドトキシン反応としてのTNF-α産生能とエンドトキシン受容体であるToll-like receptor 4の発現が亢進していたが、重症膵炎モデルではこれらが抑制されており、細菌感染時の反応性低下の機序の一つであると考えられた。
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