研究課題/領域番号 |
13470257
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
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研究分担者 |
松田 武久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60142189)
永井 英司 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30264021)
水元 一博 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90253418)
松本 邦夫 大阪大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90201780)
中村 敏一 大阪大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00049397)
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キーワード | 膵癌 / HGF / NK4 / 遺伝子治療 / 血管新生阻害 |
研究概要 |
膵癌では、HGFが癌間質相互作用の中心的なメディエーターとして働き、癌の浸潤転移にはHGF/HGF receptorが重要な役割を果たしている。我々は、HGFからβサブユニットを切断して分子内断片(NK4)を作成し、HGFの生物活性を競合的に阻害できることを見出した。今回の研究では、NK4を用いた膵癌治療を臨床応用可能な段階にまで到達させることを目的としている。 現在までの研究実績は以下のとおりである。 1.In vitro studyにおいて、検討したヒト膵癌細胞株は全てc-Metを発現し、HGFによって浸潤能が促進された。リコンビナントNK4は、HGFあるいは線維芽細胞共培養による浸潤能を完全に阻害した。(Br J Cancer,2001) 2.In vivo studyのおいて、ヒト膵癌細胞株をヌードマウスの膵内に移植した。リコンビナントNK4を腹腔内に連日投与すると膵癌の増殖、腹膜播種を有意に抑制した。さらに、マウスの生存率が有意に改善された。(Cancer Res,2001) 3.アデノウイルスによってNK4遺伝子導入をおこなうと、膵癌の遊走・浸潤は顕著に抑制された。ヌードマウスの皮下にヒト膵癌細胞株を移植した後、NK4遺伝子導入を同様に行うと腫瘍の発育が有意に抑制された。(Clin Exp Metastas, in press) 4.NK4を遺伝子導入したstable transfectantを用いて、ヌードマウスの膵内に移植すると増殖が明かに抑制され、これは血管新生阻害作用によるものであった。(submitting) 5.ヌードマウスを用いた腹膜播種モデルにおいて、NK4アデノウイルスを腹腔内に投与すると播種結節の増殖が有意に抑制され、生存率が明かに改善された。(submitting) 以上のような結果から、NK4は膵癌治療に有効であることが示唆され、更に臨床応用を目指した検討を行う予定である。
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