研究課題
平成13年度には、以下の項目について検討、あるいは準備をすすめた。1.放射線誘発大腸癌における遺伝子変異。放射線誘発大腸癌と遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)の臨床病理学的特徴が一部類似していることから、放射線誘発大腸癌症例において、大腸癌の家族歴がどうなっているのか、およびマイクロサテライト不安定性試験およびミスマッチ修復蛋白(MSH2とMLH1)に対する免疫組織化学の検討を行った。当院の放射線誘発大腸癌症例の中には、HNPCCを疑う症例は含まれておらず、さらにMSIおよび免疫組織化学で異常は、1例も認められなかった。すなわち、放射線誘発大腸癌の発癌に、ミスマッチ修復の異常が関与している症例の頻度は低いと考えられた。ただし、最近経験した1例は、MSI陽性で、かつ、免疫組織化学でも異常所見を認めている。HNPCCの可能性を考慮して生殖細胞系列の異常を現在検討している。一方、P53に対する免疫組織化学による検討では、7割以上の症例でP53蛋白の過剰発現が見られた。今後、さらに症例を集積して、般大腸癌との遺伝子変化の異同を調べる予定である。2.放射線感受性の素因に関する検討。本検討は、遺伝子の生殖細胞系列に関わる研究のため、2001年10月の癌研究会附属病院の倫理審査委員会に提出、承認された。その後、放射線照射後の照射野に大腸癌を生じた症例、および対象者のDNA検査のための採血を開始した。放射線感受性遺伝子を中心にSNP検索の予定である。
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