研究課題/領域番号 |
13470266
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
谷田 達男 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20217144)
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研究分担者 |
南雲 朋樹 岩手医科大学, 医学部, 助手 (70316371)
友安 信 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50347861)
水野 大 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90321992)
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キーワード | 肺移植 / 肺傷害 / 肺血管内皮細胞 / 細胞内信号伝達経路 / protein kinase C / アクチン重合 / transendothelial electrical resistance |
研究概要 |
平成15年度は、米国コロンビア大学のBhattacharya J教授、Sadiqa K Quadriらと共同で培養血管内皮細胞に対する高浸透圧刺激実験を行った。我々は培養血管内皮細胞の電気抵抗値の測定を分担した。肺移植を行う際にドナー肺は一時的に高浸透圧の保存液に浸漬される。このため、単層培養血管内皮細胞に対して高濃度蔗糖液を加えることにより浸透圧のみの刺激(電解質の刺激を除外する)を加える実験を行った。この研究において15分間の高浸透液への浸漬により細胞膜の電気抵抗値(TER : transendothelial electrical resistance)の増加と、細胞間隙に存在するFAK(focal adhesion kinase)の活性の増加およびE-cadherinの細胞周辺への集積が認められた。この刺激時にはactin filament濃度が増加した。肺動脈内皮細胞の電気抵抗はprotein kinase Cの賦活剤、PMA(phobor myristate acetate)の投与によりTERが低下し、actin filamentsの脱重合が関与していることを確認した。一方、アクチン線維を脱重合するcytochalasin Dによっても、TERの値が低下し、actin filamentsの関与が示された。 しかし、高浸透圧刺激たよってTERの変化がない状態でもactin filament増加反応が存在することは血管内皮細胞の防御機構の増強に関しではactin filamentsの関与がないことが示唆される。一方FAKのkinase-deficient mutantを持つ培養細胞を用いた実験ではfocal adhesion活性の増強とE-cadherinの増強が抑制され、電気抵抗の増強が鈍くなることが示された。以上から血管内皮細胞の高浸透圧刺激に対する反応にはFAKが重要な役割を果たしていることが示された。
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